阪神のドラ1投手からホームラン 富士大・麦谷祐介は「球場の全員がオレのことを見てるだろ」の強メンタルで目指すはプロ一本 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

「野球は変わってきていますから。フィジカルが大事だと安田監督とも話し合っています。引っ張ってホームランを打てるバッターはゴロゴロいますけど、逆方向に打てるバッターは少ないので。そこは強く意識しています」

 これだけの能力と実績がありながら、今年12月に愛媛県松山市で実施される大学日本代表候補選手強化合宿のメンバーに麦谷の名前はなかった。選考に不満もあるのではないかと尋ねてみると、麦谷から意外な反応が返ってきた。

「全然ありません。そんなことを言っていたら伸びないので。もちろん悔しさはありますけど、まだまだ呼ばれる選手ではなかったということですから」

 この言葉に麦谷のたくましさを感じずにはいられなかった。大学3年生の世代は渡部聖弥(大阪商業大)、西川史礁(青山学院大)、柴崎聖人(大阪経済大)ら逸材が揃っている。麦谷が右肩上がりに成長し続ければ、彼らと大学ジャパンのレギュラー、そしてドラフト指名を巡ってつばぜり合いを繰り広げることになるだろう。

 1年後、どんな選手になっていたいか。その問いに対する麦谷のコメントもふるっていた。

「対戦したチームの人、試合を見てくださる人が『こいつ、プロだな』と言っていただけるような選手になりたいですね」

 メンタリティーは間違いなくプロ向きだ。麦谷祐介の名前を今から覚えておいて損はない。

プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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