2年目にブレイクの予感あり。西武・相内誠に要注目

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 とりわけ相内は185センチの長身を誇る一方、体重68キロとスリムな体躯だ。昨季序盤、潮崎二軍監督は「まだ体が全然できていない。カモシカのような足」と指摘し、「体が出来てからが本当の勝負。楽しみは2、3年後だね」と語った。

 同時に「能力はとんでもないものを持っている。ストレートはもちろん、カットボール、フォークともに、超一流投手になれるボール」と期待を寄せる。

 昨シーズン序盤は二軍でも実戦の場から離れ、夏場までランニング、ウエイトトレーニングを繰り返した。徐々に体力がつき、8月のイースタンリーグで初めて公式戦に登板。最終的には6試合に登板し、0勝3敗、防御率6.30だった。

 シーズン終了後は宮崎のフェニックスリーグ、オーストラリアのウインターリーグに参戦。そして新年1月、西武第二球場でルーキーたちに混じり、昨季参加できなかった新人合同自主トレに参加した。ある意味、ようやくプロのスタートラインに立ったと言えるのかもしれない。

 今季から登録名を「誠」に変更し、心機一転でプロ2年目のシーズンに挑む。まだまだ課題は多いものの、首脳陣やファンの期待は大きい。長身から投げ下ろすキレのいいストレート、鋭く曲がる変化球、そして抜群のコントロールは、プロでも一級品の潜在能力を誇るからだ。

 自身への後悔をパワーに変え、昨季は地道な体力作りに励んだ。西武ドームのマウンドで投げる渇望は、日に日に増すばかりである。

 西武の先発陣は岸孝之、牧田和久、菊池雄星らを擁し、すぐにローテーション争いに割って入るのは容易ではない。まずは二軍の先発陣に定着し、一定の登板間隔を守って投げていくことが先決だ。そうして力をつけていけば、必ず華やかなスポットライトを浴びる日が訪れるだろう。それが2、3年後になるのか。あるいは今季終盤の一軍デビューもあるのか。

 19年間で激動の人生を歩み、投手として高い潜在能力を秘めている相内誠。挫折を跳ね返した人間は、ただでは転ばぬ強さを身につけるものだ。それだけに、周囲の期待も大きくなる。相内の才能がいつ開花するのか、多くの者が待ちわびている。

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