エムバペが相手の逆を取りつづけられるカラクリ。元日本代表が解析 (2ページ目)

  • 松岡健三郎●取材・文 text by Matsuoka Kenzaburo
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

◆エムバペの驚異のテクニックを大解剖。メッシ&ロナウド越えはほぼ確実>>

 紹介した「ステップフェイク」でも、おそらく最初はステップした方向へ進もうとしたけど、相手がしっかり対応してきたのでギリギリで止まり、逆方向へ運んだ感じです。「キックフェイントシュート」もGKのリアクションを見て、シュートを蹴る直前でキャンセルし、かわすプレーに変更しています。

蹴る直前でシュートをキャンセルし、GKをかわしにいく「キックフェイントシュート」蹴る直前でシュートをキャンセルし、GKをかわしにいく「キックフェイントシュート」 ステップでも、シュートの場面でも、軸足を踏み込んだ時にお尻とモモ裏でしっかり耐えて、1秒もないほんのわずかな時間ですが、相手を見る瞬間をつくっています。

 ただ、この時間があるので、ボールタッチするギリギリでプレーをキャンセルして、「タッチの角度」や「蹴るタイミング」、「進む方向」などを変えることができるんです。

 だから、軸足を踏み込んで片足に立ちになった時に、しっかり上体を支える。ここでタメをつくれると、相手との駆け引きでドリブル突破できるようになると思います。

「ステップフェイク」は、相手がよく見えるようになれば、ステップ1つで相手の逆を取れるようになるので、取り入れやすい足ワザだと思います。お尻とモモ裏でしっかり耐えられる選手になれると、プレーに余裕が生まれて、選択肢も広がりますね。

キリアン・エムバペ
Kylian Mbappe/1998年の12月20日生まれ。フランスのパリ郊外のボンディ出身。フランスの育成組織の名門、クレールフォンテーヌ国立研究所で育つ。2013年からモナコユースに所属し、15年にトップチームデビュー。翌シーズンのチャンピオンズリーグベスト4、リーグ優勝に貢献した。17年にパリ・サンジェルマンへ移籍しチームのリーグ3連覇に貢献。18年ロシアW杯では19歳ながら10番を背負い、優勝を経験した。驚異的なスピードと強靭なフィジカルを兼ね備え、ドリブルで他を圧倒。2020-21シーズンは得点力も増し、リーグアン得点王に輝いた。

永井雄一郎
ながい・ゆういちろう/1979年2月14日生まれ/東京都新宿区出身。三菱養和SCから、1997年に浦和レッズに入団。98年にカールスルーエ (ドイツ)でプレーし、翌年に浦和へ復帰。06年にリーグ優勝。07年 にはACLのタイトルを獲得し、大会MVPも受賞。その後、清水エスパルス、横浜FC、ザスパクサツ群馬などでプレー。J1通算289試合/52得点。日本代表ではU-20代表で2度のワールドユースに出場。99年大会は準優勝に貢献した。国際Aマッチ4試合出場1得点。現在は、神奈川県2部リーグの「はやぶさイレブン」で選手兼コーチとして活動している。

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