「三刀流」のアクション女優・宮原華音が振り返るプロのリング 相手の膝蹴りに「このままだとやられる。行かなきゃ」 (2ページ目)

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka

 撮影の苦労を聞くと、「衣装がやぶけないように注意すること」と、大きな口を開けて快活に笑う。ドラマで着用する衣装はオリジナルであり、万が一破損した場合は撮影の進行に大きな支障をきたす場合がある。それゆえ、衣装を大事にしながら激しいアクションをこなすという無理難題に挑む必要がある。

「例えば、地面を滑るように転ぶと衣装が破けてしまいますから、着地する時は"面"ではなく"点"で地面と接するように気をつけています」

 受け身などの所作は、空手や格闘技を学ぶ中で自然と身についたものだが、周囲のスタッフは大いに感心したに違いない。

「アマゾンズに出演した頃は10代だったので、自分のことだけで精一杯。だから、少しは成長したところを見せられたかなって思っています」

【格闘技の試合に出ようと思ったきっかけ】

 仮面ライダーへの出演が決まる数カ月前、彼女はもうひとつの決断をしていた。格闘技への挑戦だ。

 空手をやめたあと、格闘技の試合を生観戦する機会が増えていた。そんな中、あるUFCの試合に衝撃を受けた。

「KOされた選手がきれいに倒れるのを見た瞬間、体がぞわっとしたんです」

 その試合は激しいパンチの応酬の末、カウンターを食らった選手が静かに膝をついた。まるでスローモーションのようで、「人はこんなにきれいに倒れるのか」と驚いたという。そこからボクシング、キックボクシングなどもむさぼるように見るようになった。

 そんな格闘技好きが高じ、2022年4月からキックボクシング「RISE」のラウンドガールに。同時に、第4代RISEバンタム級王者・宮城大樹が代表を務める「TARGET SHIBUYA」の門を叩く。

「少しでも選手の気持ちを理解したかったんですよね。最初は、体を絞るためにやる会員さんと同じ感覚でした」

 やがて、トレーニングだけでは飽き足らなくなったのか、「試合に出たい」という気持ちが強くなってきた。宮原の中に流れる"闘いの血"が騒いだのだろう。そして、パーソナリティを務めていたRISEのラジオ番組『RISE STUDIO』(2022年10月~2023年8月)内での、宮原の企画コーナーについて打ち合わせをしていた時に、RISEの伊藤隆会長から「プロの選手として試合に出るのはどうか」と打診されたことをきっかけに、実現へと動き出すことになる。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る