『仮面ライダーガッチャード』クロトー役・宮原華音が語る空手少女時代「男の子に勝てることが自信になった」 (3ページ目)

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka

【存在意義を見失いかけた時、目を覚まさせた監督からの言葉】

 幸運にもこれまでのキャリアが功を奏し、18歳で『ハイキック・エンジェルス』という映画で主役を務めることになった。CGやスタントを使わない本格的なアクション映画で、彼女の手足の長さや経歴は、スタッフの目に輝いて見えたことは想像に難くない。

 スマッシュヒットした映画の続編の主演ということで注目は集まったが、その後も仕事が増えることはなかった。高校卒業後に日体大に進学したのは、女優という不確かな仕事に対して"人生の保険"をかけたのだろうか。そう聞くと、彼女は少し寂しそうな顔をした。

「一番大きかったのは、高校時代に空手で大怪我をしてしまって選手生命に限界を感じたことですね。映画の現場にいた時も、アクション俳優の方は怪我が多くてみんなボロボロ。だから、アスリートを支える柔道整復師などの資格を取ろうと思ったんです」

 映画の主演を務めたものの、気がつけばアクションができるモデル、という"微妙"な立ち位置に落ち着いていた。自分自身の長所をどう活かしたらいいのか、当時の宮原にはわからなかったのだろう。

 アスリートとして日の目を浴びることはない。モデルとして生きていきたいが仕事はない。学生生活に救いを求めた。

 だが、人生の大きな転機はこの後に待っていた。それは、仮面ライダーシリーズの『仮面ライダーアマゾンズ』への出演だ。アクションができる若手女優の中でも彼女の経歴はダントツで、見事にオーディションを勝ち抜き、作中で「アマゾン」と呼ばれるモンスターを狩る「駆除班」所属の高井望役に決まった。

 監督の石田秀範氏には大きな影響を受けたという。石田氏はあるインタビューで、『仮面ライダーアマゾンズ』について「大人が観ることを想定した仮面ライダー」と答えている。特に登場人物の痛い、つらい、苦しいといった生々しい感情を視聴者に実感させることにこだわり、ストーリーは難解で奥行きがある。子供向けとは一線を画した作品に仕上がり、各方面から高い評価を得た。宮原も、単にアクションだけを求められたわけではなかった。

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