投資を学ぶ高校野球部の生徒たちが「儲かるビジネスの作り方」をアイデア出し (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu

【さまざまなマッチングを考える】

奥野「そう。だから、たとえば利用したい人は、もちろん月額いくらというお金を払うんだけど、もう一方のマッチングさせる対象は、人ではなくてモノのほうがいいということも考えられる。モノなら『もっとお金をくれ』などとは言わないからね」

鈴木「あ、だから自動車のサブスクがあるんだ!」

奥野「自動車の場合、ガソリン代は利用者持ちになるけど、自動車を維持するための最低限のコストはかかる。まあ、それでも人間のようにうるさく『金額をもっと上げろ』などとは言わないから、その分はプラットフォーマーとしてもコントロールしやすいかもしれないね」

由紀「モノか......たとえば、まあこれは許可申請が必要かもしれないし、手続きが面倒なような気もするんだけど、学校の施設と利用者をマッチングするというのはどうでしょうか。たとえば泳ぎたい人と学校のプール。野球やサッカーをしたい人と校庭、ピアノの練習をしたい人と音楽室、というようにするんです」
鈴木「学校の施設使用権をサブスクリプション型サービスで、使いたい人に提供するってことか......。これなら元手もそんなに必要ないかもしれないなー」

奥野「なるほど、確かにいいアイデアかもしれないね。前にも一度言ったことがあると思うけど、プラットフォームビジネスには参入障壁が低く、参入障壁を築きにくいという欠点があるんだ。ちょっといいアイデアだと、すぐに競合が出てきて、熾烈な価格競争が始まって陳腐化してしまう。

 でも、学校施設を使う権利をがっちり押さえてしまえば、これ自体がちょっとした参入障壁になるかもしれないし、たとえそうならなかったとしても、何かを教えたい人と教わりたい人が集まる場ができれば、これはビジネスとして成立するかどうかという以前に、とてもいいコミュニティができるような気がするね。

 高校生のアイデアとしては、なかなかいいのではないだろうか。

 それに、学校の施設はさまざまな補助金でつくられているし、その補助金は税金から補填されているものなのだから、実際に税金を払っている人たちへの還元にもつながる。これによって地域コミュニティの活性化につながれば、学校周辺に住んでいる人たちからも喜ばれるかもしれないね」

鈴木「じゃ、高校生らしくない質問をちょっとしてもいいですか。これからプラットフォームビジネスで儲けることを考えるのだとしたら、どうしたらいいんでしょう」
由紀さん「まあ......」

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