「株を始めるチャンスですか」 投資を学ぶ高校野球部生が「バブル期以来の株高」に直面して (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【株価の上げ下げを捉えるのは難しい】

奥野「残念ながら、そう簡単に今がどの局面にあるのかを当てることはできないだろうね。皆が悲観的だから、『そろそろだな』と思って買ったら、まだ下がったなんてことも結構あるからね。

 現在の株価がどうなのかということになると、6月19日に日経平均株価で3万3772円をつけた後、3万2306円まで下げて、3万3762円まで戻したものの、再び下げて7月10日が3万2065円だった。この動きを見て、懐疑的な見方をする人もいるようだから、まあ、『このなかで徐々に上昇する芽が育つのかな』なんてことを考えるのもいいんだけど、本当に育つかどうかは、まだわからない。

 要するに、今の株価の動きを見て、皆が悲観的なのか、懐疑的なのか、楽観的なのか、それとも陶酔状態なのかを当てようとしても、ほとんどムダだということなんだ。そんなことに時間を使うなら、淡々といい会社を見極めることに時間と労力を注ぎ込んだほうが、いいんじゃないかな。

 投資家にはいろいろなタイプの人がいて、株価の上げ下げを上手に捉えて売買を繰り返す人もいれば、ひたすら企業価値に着目して、成長する会社の株式に長期投資をする人もいる。

 どっちが正解とは言えないのかもしれないけど、株価の上げ下げを捉える、つまりタイミングを捉えて利益をあげるというやり方は本当に難しくて、たいがいは外れてしまう。そもそも買いや売りの最適なタイミングがわかったら、投資する会社を選ぶ必要がなくなるよね。多くの人はタイミングがわからないから、いい会社を必死に探して投資するんだ。

鈴木「先生が言ういい会社ってどんな会社なんですか」
由紀「そういう会社が見つかったとして、それに投資する時も、タイミングって大事なんじゃないですか」

奥野「いい会社というのは、ちゃんと利益を上げて、しかもその利益を将来にわたって、しっかり増やしていける力を持っている。確かにその時々で株価は上がったり、下がったりを繰り返すけれども、そういう会社の株式を持っていれば、長期で見れば、右肩上がりで上昇トレンドを描いているものなんだ。

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