就職人気企業ランキングを投資教育を学ぶ高校野球部生と考える「企業に大事なのは成長するかどうか」 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【成長する企業の見分け方】

奥野「ブラックな働かせ方をする企業が悪目立ちしたせいか、最近はホワイト企業が注目されているね。労働負担の割に賃金が低い、将来のキャリアパスが描けない、福利厚生がずさん、といったブラック企業の逆がホワイト企業、という認識でいいかと思うんだけど、これまで何度も言っているように、企業にとって一番大事なのは、成長するかどうかってことなんだ。

 たとえば、業界そのものがどんどん沈んでいる構造不況業種で成長しようとするのはとても大変だし、成長できない業界に属する企業は、社員に無理をさせて業績を上げようとするから、ブラック化しやすい。

 成長著しい業種でも、仕事がどんどん増える反面、人手不足で結果的に無理な働き方をさせられるケースもあるけれど、成長産業はどんどん給料も増えていくはずだから、労働そのものは無茶苦茶忙しいかもしれないけれど、やりがいという面でも金銭面でも相応に報われることになるんだ。いずれにしても、成長している会社は、いい会社であることが多いはずなんだよ。

 そして、その企業が今後も成長するかどうかを見極められるようにするには、やっぱり会計の知識が必要になるんだ。上場企業であれば、過去20年以上の株価の動きを見てみる。成長している会社なら、多少のデコボコはあるとしても、右肩上がりになっているはずだし、成長している理由をより深く知りたいなら、その会社の財務諸表をチェックするといいよ。10年、20年単位でどのように業績を伸ばしてきたのかを調べてみて、それがこれからも続くのかどうか、仮説を立ててみる。そこまでしたうえで面接に臨めば、他の就活生にも差をつけられるだろうね。

 ただし、ひとつだけ言えるのは、成長している会社はいい会社ではあるのだけれども、仕事はハードかもしれない。何の負荷もかからず、社員がのんびり働いている会社は成長しない可能性が高いからね。だから、成長している企業に入ったら、特に若いうちはハードに働くことになると思って間違いない。

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