就職人気企業ランキングを投資教育を学ぶ高校野球部生と考える「企業に大事なのは成長するかどうか」 (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【昔の人気業種は今の不人気業種】

奥野「まず鈴木君。その考え方はダメです。当たり前だけど、就活生の人気企業ランキングは、その時の人気投票でしかなく、その後どうなるかを保証しているわけではないんだ。

 これは由紀さんの質問に対する答えでもあるんだけど、人気企業は時代によって変わります。

 日本の場合、産業別に言うと、最初は鉱山会社が学生の就職先として大人気だったんだ。それ以降、軽化学、重化学、鉄鋼・造船、自動車・家電、金融・サービスというように変遷して、今はコンサルティング会社が人気を集めている。

 今のコンサルティング企業人気はさておき、これは就活生の人気企業であるのと同時に、その時々における日本の中心産業でもあるんだ。で、昔の人気業種が、今は不人気業種になってしまっていることも珍しくない。そして、不人気業種の会社で社長や役員を務めている人の最終学歴を見ると、実は東京大学などの国立大学を含め、有名大学の出身者だったりするんだ。

 いわゆる高学歴の学生は、どの人気企業からも引く手あまただから、その時々の人気企業を志望することが多いんだけど、高学歴の学生が大量に採用される業種、企業は、実はその時がピークである可能性がある。

 あと、親が『ここはいいわよ』なんて言っている業種や企業も鵜?みにするのではなく、注意する必要がある。よく就職活動で親の希望が反映されているなんて話もあるんだけど、親の価値観はアップデートされていない可能性もあると、よくよく認識したほうがいいと思うよ。そもそも親の人生ではないのだから、自分で考え、自分で責任を取るというスタンスこそが重要なんだ。

 で、結局のところ、いま学生の人気の業種や企業、親が勧めてくる業種や企業は、20年、30年という時間が経つと、過去の栄光にすがっているだけの企業になってしまっているケースも少なくないんだ」

鈴木「そうなると、何を基準にして就職先を探せばいいんですか」
由紀「ホワイト企業?」

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