投資教育を学ぶ高校野球部生の「初めての投資信託」 その数6000、「どうやって選べばいいの?」 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

 アクティブ型の付加価値は、インデックスを超えるリターンが期待できることにあるから、購入する時はどの投資信託にするかを、自分で選ばなければならない。当然、運用会社や運用担当者が違えば、同じ投資対象だとしても、おのずと運用成績には差がついてくるからね。

 一方、たとえばTOPIX並みの成績を目指して運用されるインデックス型の投資信託は、運用会社や運用担当者が違ったとしても、ほぼTOPIX並みの運用成績に収れんされるから、どの運用会社のインデックス型投資信託がいいのか、という点であまり悩む必要がないんだよ」

鈴木「インデックス型の投資信託のほうが簡単そうですね」
由紀「ちなみに、アクティブ型はどうやって選んだらいいんですか?」

奥野「確かにインデックス型を選ぶのは簡単で、選ぶ基準は、低コストであることと、どれだけたくさんのお金を集めているか、つまり残高の大きなものを選んでおけば、そう間違いはない。

 でも、アクティブ型は投資信託ごとに運用方針が違うので、そこを確認するのも大事だ。たとえば、あるアクティブ型投資信託は『長期的に成長する企業を厳選する』、『売らなくていい企業を見極める』という運用方針を掲げているんだけど、それを見て、自分自身が手触り感を持って納得できるかどうか。そして納得できるのであれば、その投資信託を保有すればいいということになる。

 これはアクティブ型に限った話ではないんだけど、投資信託は日々、値動きがあって、時には大きく値下がりすることもあるでしょ。そうなった時、つい不安になって解約してしまう人がいるんだけど、投資信託は長く持つことでより効果が期待できる投資商品だから、下がった時でも持ち続けることが大事なんだよ。その時、やはり何か心の支えみたいなのが必要になってくる。だから、運用方針に共感できるかどうか、ということが大事になってくるんだ。

 自分が共感できる運用方針を持つ投資信託なら、多少、値下がりしたとしても、その運用方針を信じて持ち続けることができる。だから、まずは運用方針をしっかり見てみることだね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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