投資教育を学ぶ高校野球部生の「初めての投資信託」 その数6000、「どうやって選べばいいの?」 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「投資の考え方」と投資信託】

奥野「たとえば鈴木君が将来、営業の仕事をすることになったとしよう。取引先と話をする時、相手に関する情報を持っているのと、まったく持っていないのとでは、契約に至るまでの成功確率が違ってくるはずだよね。

 じゃあ、どんな情報が必要なのかということなんだけど、それは相手の業績の推移だったり、財務内容だったりする。業績推移や財務情報は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表に記載されているから、これらを読んで理解できるようにするための知識を、身につける必要がある。そして、これらの知識は、株式投資を通して身につけることができるんだ。

 ただし注意しなければならないのは、同じ株式投資でも、『チャート』といって株価の値動きを示したグラフを見るだけで予想をして投資をしているだけでは、いつまで経っても、こうした会計の知識は身につかないということ。社会人として、ビジネスの世界で身をたてていこうと思うなら、会社の業績や財務といった基本的な数字を見て、その会社の良し悪しを判断できる能力を持つことが大切になる。この能力は、とても大きな武器になるし、ビジネスにも投資にも両方で役に立つはずなんだ。

 社会人になったら、自分で自分の市場価値を上げる努力をしなければならない。会計の知識だけでなく、たとえば英語のスキルも高める必要がある。グローバルに戦えるビジネスパーソンになるには、たとえば海外のビジネススクールで学ぶことも大事かもしれない。

 やるべきこと、学ぶべきことはたくさんあるから、社会人になってしばらくは、自分で投資先を選んで資産を運用する時間をとるのは現実的には難しいと思うんだ。それでも資産運用は若いうちから始めたほうがいいので、そこは専門家に任せてしまうのが合理的だし、そのためにも投資信託という商品が存在する。『投資の考え方』を学ぶことと投資信託の関係については、そう理解すればいいんじゃないかな」

由紀「投資信託って約6000本もあるっておっしゃいましたよね。そもそもどんな種類があるんですか」

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