投資の鉄則「分散」について高校野球部生は「タイプの違う選手がいるのがいいチーム」と学んだ (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【値動きの方向性が異なるものの組み合わせを】

奥野「複数の企業に分散投資すると、5企業のポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)全体の評価額が上昇することだって、十分に考えられるんだ。企業Aが10%下落しても、企業Bが15%値上がりすれば、企業Aと企業Bを組み合わせたポートフォリオのリターンは確保できる。

 もちろん、企業Bだけに集中投資すれば、15%のリターンが得られたわけだから、分散投資は効率が悪いように思えるかもしれない。

 でも、選んだのが企業だけだったりしたら、10%も値下がりしてしまうことになる。この場合、企業Bにも分散させたおかげで、プラスのリターンが得られたと考えることもできるんだ。現実に、企業Aを選ぶ可能性もあるわけだから、1企業だけで投資するのは、まさに「勝負」することと同じになってしまう。これは、長期的な資産運用においては、あまり相応しくない投資法といってもいいだろうね。

 分散投資の効果を高めるためには、AとBのように値動きの方向性が異なるもの同士を組み合わせることが肝心なんだ」

由紀「でも、1企業への集中投資がダメだから分散させるといっても、何社に分散すればいいんですか」
鈴木「分散するものを増やせば増やすほどリスクはなくなると考えていいんでしょうか」

奥野「投資の世界で言うところの『リスク』とは、リターンのブレを指しているって、前にも説明したと思うんだけど、覚えているかな。

 だから、鈴木君が言っているのは、たくさんの企業に分散するほどリターンのブレがなくなるかというのと同じことになるんだけど、『リスクがなくなる』ことは基本的にないと言っていいだろうね。

 たとえば日経225平均株価は225企業、東証株価指数(TOPIX)に至っては東証プライム市場上場全企業の1836の企業を用いて算出される株価インデックスなんだけど、TOPIXの値動きを追っていくと、案外、大きく動くこともあるんだ。1836の企業ってかなりの企業数なんだけど、それでも値動きはある。だから、どれだけたくさんの企業に分散したとしても、リスクがなくなることはないんだ。

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