3年目のDリーグは本当に盛り上がっているのか。創設者は「チケット、グッズの売り上げも伸びている」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

【ファン目線を考え販売後に座席変更も】

 ただすべてが順風満帆に進んでいるわけではない。「Dリーグはまだ完成されていない」と同氏も語るように、ルーティンでラウンドをこなしているだけではなく、大小さまざま生じる課題を解決している日々だ。

「もちろん開幕前にはサッカーの構造や、NBA、NFLなどから多くのことを学びましたが、なにせダンスのプロリーグは他に事例がないので、何を参考にすればいいのかと思って作ってきました。リソースが少なく、経験値も少ないなか、いろんな課題を解決しながらも、走らないといけない。それでも3年目になって、ようやく縦組織で横軸が連携するガバナンスが取れ始めています。

 それから通常ではありえないことですが、シーズン中にも関わらず、途中で席の配置を変えたんです。来場されたファンの方が、どの席だと満足度が高いかなどの反応を見て、席を変えるなどして改善を重ねています。ファンの方々にはご迷惑をおかけしてしまう点も多々ありますが、今は決め込むことではなく、一番の最善策は何だろうと考えつつ、次のシーズンはもっとよくなるように考えていかなければいけないと思っています」

 そしてこの3シーズン目には、想定どおりの大胆なルール改正も行なった。これまで各チームがショーを披露するごとに採点をして順位を競っていたが、チーム対チームの対戦方式に変更。さらに前2シーズンで採用していた芸能関係者や他競技の元選手などによるエンターテイナージャッジを廃止し、ダンサージャッジだけにした。これにより序盤戦は順位に大きな変化が起きた。

「序盤は昨シーズンまで強かったチームが手堅く勝っていくんだろうなと予想していましたが、まさかのどんでん返しで、これまで結果が振るわなかったチームが大健闘しました。それは対戦形式になったことで、絶対王者や常勝チームに対して、他のチームが自分たちの最強のネタをぶつけてきていたからだと思います。

 ただラウンド5まで来ると、昨シーズンまで強かったチーム、『エイベックス ロイヤルブラッツ』や『セガサミー ルクス』などが、順調に勝ち始めてきました。それは戦術や戦略をより練り直してきた結果かなと思います。ラウンド4からは客席からの声出し・歓声が可能になったことで、セガサミー ルクスは、途中で拍手をあおり、会場全体をのせることを戦略的に狙っていましたね。

 サッカーなどの他のスポーツでも、対戦チームを見て、戦術・戦略を練ってくるのと同じで、相手に対抗する作品を作ってきていますし、さらに観客も意識している。今後はその戦術・戦略がカギを握ってくるのかなと思います」

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