瀬戸大也はパリ五輪で「大どんでん返し」を狙う 厳しい現実を痛感しても前向きな理由

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 7月23日から福岡で開催された、世界水泳選手権2023で瀬戸大也(CHARIS&Co.)は、目標としている来年のパリ五輪「金メダル獲得」に向けて、水泳とどう向き合うべきなのか、何をすべきなのかを考えさせられる厳しい現実を受け止めていた。

瀬戸大也がパリ五輪の金メダルを目指す上で、最大のライバルとなるのがレオン・マルシャン(中央)だ瀬戸大也がパリ五輪の金メダルを目指す上で、最大のライバルとなるのがレオン・マルシャン(中央)だ 2年前に自信をみなぎらせて臨んだ東京五輪では、400m個人メドレーでまさかの予選敗退。200m個人メドレーで4位、200mバタフライで11位と金メダルどころか、表彰台に登ることすらできず、何が起きたのかわからないような戸惑いの表情を見せていた。

 その後、2022年の3月ごろから加藤健志コーチとタッグを組み、パリ五輪での金メダル獲得を目指して再出発。成果が現れたのが、その6月に行なわれた世界水泳ブダペスト大会200m個人メドレーでの銅メダル獲得だった。

 それから1年が経ち、今大会の目標は「銀メダル以上と日本記録更新」と語っていた瀬戸の表情は明るく、「その準備はできている」と自信を見せていた。

 加藤コーチも「最低限が日本新記録。絶対に4分5秒台は出せるはず」と言い、本人も「うまく泳げば4秒台もあるかなと思う」と意気込んでいた。

 しかし、瀬戸の前に大きく立ちはだかったのが、レオン・マルシャン(フランス)だ。昨年のブダペスト大会で個人メドレー2冠を達成し、過去400m個人メドレーでは怪物と称されたマイケル・フェルプス(アメリカ)の世界記録に迫るタイム(4分04秒28)を出している。そして、今大会も好調を維持していた。

 瀬戸としては、現時点ではマルシャンに及ばないにしても、パリ五輪での金メダル獲得のためには、他のライバルは破っておきたいところ。また、個人メドレーは200m、400mともに萩野公介の日本記録(1分55秒07/4分06秒05)を超えられていない。だからこそ、その記録を更新することが、パリ五輪で勝負するために必要だと考えていた。

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