競泳の日本選手権で輝くのは誰か。松田丈志が見どころをズバッと解説 (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

 来年の東京五輪に向けて、自分がどの位置にいて、来年はどのあたりを狙えそうなのか、五輪における最終目標までの進捗はどうなのか、などを実際に五輪で戦うライバルたちのいる国際大会で把握する最後のチャンスだ。

 つまり今夏の世界選手権の成績が、来年の東京五輪に向け、選手自身が思い描く最終目標に大きく影響するからだ。

 実際私もロンドン五輪前年の2011年世界選手権で、200mバタフライで銀メダルを獲得し、150mをトップでターンしたことによって、「来年の五輪では金メダル」という目標を強く思い描くことができた。結果、その目標は達成できなかったが、選手が目標を実現可能なものと思えない限り、挑戦することすらできないのだ。

 実際に五輪前年からギアを上げてくる海外勢も多い。そんな「仮想五輪」の舞台に少しでも多くの選手が立てることを祈っている。

 女子個人メドレーの大橋悠依は順調にトレーニングを消化しており、元々の持ち味である伸びのある泳ぎに力強さが加わって来た。プールサイドにバイクを置きスイムとバイクトレーニングを交互に行なうなど、今シーズンに入って下半身の強化が順調に進んでいる。力強いキックを最後まで止めることなく撃ち続けられたら、200m、400mの2種目で自己記録の更新も期待できる。

 さらに、大橋は今回200mバタフライにもエントリーしていてこちらも楽しみな種目だ。最後の最後まで展開が読めないこの種目、彼女の持ち味である効率のいい泳ぎで後半スルスルと上がってくる可能性もあるだろう。

 しかし、200mバタフライではこの種目リオ五輪代表の長谷川涼香も今シーズン好調を維持している。昨シーズン長谷川はよりキックの効いた泳ぎにする為、泳ぎの改良を試みていた。長谷川の持ち味は「腕で引っ張るバタフライ」だったが、今後、よりスピードの上がる泳ぎにしていくための改良だった。昨年はその新しい泳ぎになかなかアジャストできずに苦しんだが、今シーズンになってやっとその取り組みが花開き始めている。1月のオーストラリア合宿でも世界のライバルを圧倒する泳ぎを見せていた。長谷川にはこの種目の第一人者としての泳ぎをぜひ見せてもらいたい。

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