國學院大・青木瑠郁が学生ハーフで優勝→青学・太田、駒澤・佐藤にライバル心「来年の箱根駅伝では力負けしないように勝負したい」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 レースを見ていた駒澤大の藤田敦史監督は「勝負に勝つのは簡単ではないのですが、そこでしっかり勝ちきるところで本当の強さが身についてくるんです。青木君は、勝ちきって自信になったでしょうし、チームも勢いがつくのではないでしょうか」と、青木の走りを賞賛するとともに、國學院大の今後に警戒心を隠さなかった。

 確かに、ロードシーズンになり、國學院大の選手が活躍し、チームは勢いに乗っている雰囲気がある。神奈川マラソン(ハーフ)では木村文哉(3年)が63分10秒で2位に入り、宮古島駅伝では高山豪気(2年)らが出走し、5区間すべてトップの完全優勝を果たした。大阪マラソンでは、平林が2時間06分18秒で昨年、横田俊吾(青学大→JR東日本)が出した学生記録(2時間07分47秒)を更新し、初フルで初優勝。金栗杯玉名ハーフマラソン大会では上原琉翔(2年)が63分12秒の自己ベストをマークして3位に入った。

「今の國學院大の強さは、狙いにいったレースで実力を出しきれる、勝ちきれるところだと思います。出るレースは勝ちにいくというのをチームで決めているんですが、一人一人がレースで勝ちきるという気持ちで練習をしているんです。もちろん実力があっても難しいところがありますが、そういうなかでも結果を出しているので、チームはすごくいいムードです」と青木は語る。

 勝ちきる先には、やはり箱根で勝つという思いが非常に強いからでもある。

 昨年は出雲駅伝が4位、全日本大学駅伝は3位、てっぺんを狙った箱根駅伝はスタートの出遅れが響き、一度も優勝争いができぬまま総合5位に終わった。箱根は青学大が制したが、その反響と影響力は非常に大きく、出雲、全日本を制した駒澤大の2冠が霞んでしまった。それゆえに、青木は4月からの新シーズンでは、箱根1本で勝負していくぐらいの覚悟でいかないといけないと考えている。
 
「今シーズンは、駒澤大学さんが出雲、全日本を取りましたけど、結局は箱根で勝った青学さんのシーズンになりました。いくら2冠をとっても箱根で勝ったチームのシーズンになってしまう。僕は箱根で優勝するために國學院大に入ってきましたし、箱根で勝つためにはハーフで力をつけていかないといけない。今回、学生ハーフで勝てたのは、自分にとってもチームにとっても大きいと思いますし、この流れを続けていかないといけないと思っています」

 青木は4月から3年生になり、上級生になる。箱根以降、新主将になった平林はマラソンのためにチームを離れていることが増えたが、チーム内では団結して、それぞれのレースで頑張っていくという気運が高まり、青木自身は自分がチームを引っ張るという気持ちでいたという。

「平林さんがいないなか、自分がやらないといけないという気持ちになりましたし、普段の練習でも自分が引っ張ることがかなり増えてきました。これからはエースとしての自覚を持って、やらないといけない。それは今、すごく感じています」

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