青学大の「結果を残せていない」4年生たちが箱根で好成績を残せたワケ「過去の先輩方にはなかった」ことも実施→横の繋がりを強めた (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 春先は、最悪のスタートだった。

 関東インカレのハーフに出場した松並昂勢(4年)は20位、志貴勇斗(4年)は23位におわり、近藤幸太郎ら強い4年生が抜けたチーム作りに四苦八苦していた。

「昨年の4年生の抜けた穴というのは、この時期はまだ埋め切れていなかったです。新体制になったチームも故障上がりで復帰段階の者が多く、少しずつ足並みがそろってきている感じでした。まずは、スタートラインに全員が立つということが求められていました」(佐藤)

 走れない4年生たちは下級生たちからの信頼をもう一つ得られず、近藤や岸本大紀が抜けた穴を埋め切れない。さすがに原晋監督も「このままじゃシード権も獲れんぞ」と語気を強めて4年生たちを叱咤した。

 駅伝シーズンに入っても出雲駅伝に出走したのは、佐藤と山内健登(4年)だけ。全日本は、その2人に加え、小原響(4年)が4区で出走したが、ここに来ても4年生の足並みがなかなか揃わなかった。それから2カ月後、箱根駅伝でようやく初出場組の倉本玄太(4年)を含めて3名の4年生が出走することができた。

「前回の箱根は、7名の4年生が走ったんです。今回は僕を含めて3名だったんですけど、4年生で区間賞2つ、山内が区間3位で結果を出すことができてホッとしています。自分たちがしっかりと最後に走れたのは、やっぱり同期がいたおかげです」(佐藤)

 春からぐらついたチームを支えてきたのは、志貴キャプテン、寮長の鈴木竜太郎、赤坂匠主務を中心とした4年生だった。

「今年のチームは、全体の雰囲気がすごくいいんです。その雰囲気の良さというのは志貴キャプテンを中心にポジティブなチームを作りしてきたからで、それが下級生にも広がってチーム全体の雰囲気の良さが生まれました。僕ら4年生は陸上では結果を出せなかったんですが、そういう環境面といいますか、競技以外の面でチームにいい影響を与えることができたかなと思います」(佐藤一世)

 実際、その雰囲気の良さは下級生たちも感じていたようで、黒田は、「チームはすごくいい雰囲気で箱根に臨めましたし、だからこそみんないい走りが出来たんだと思います」と笑顔で語った。

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