箱根駅伝の区間エントリーから見る前回大会上位6校の思惑 駒澤大は王道の勝ちパターン 青山学院大は往路で勝負のオーダー (3ページ目)

  • 折山淑美⚫︎取材・文 text by Oriyama Toshimi

【多彩な布陣の可能性を秘める國學院大】

 前回4位の國學院大は全日本7区区間賞と存在感を増した平林清澄(3年)を2年連続の2区にエントリー、伊地知賢造(4年)と山本歩夢(3年)は補欠に登録し煙幕を張ってきた。全日本8区区間2位の伊地知は前回走った5区と予想されていたが、出雲1区、全日本3区でともに区間3位になっていた上原琉翔(2年)に"山上り"を託した。また全日本1区区間6位だった後村光星(1年)は6区に配置されており、出雲、全日本で1区をテストしたと思われていたふたりを山の特殊区間に起用してきた。

 故障の影響で出雲と全日本は本領発揮とはいかなかった山本は、順当なら当日変更で過去2年連続区間5位で走っている3区が有力視される中、注目は1区に誰を起用するか。エントリーされているのは瀬尾秀介(4年)、補欠の青木瑠郁(2年)は前回区間12位だが、区間2位の駒大に23秒差と大きな差はなかった。青木は今季、初のハーフマラソンながら1時間02分02秒で走り、1万mでも自己新記録とさらに成長しており、1区でのリベンジを期している可能性はある。また、後続区間に好順位で着実につなぐことを優先するなら、日本インカレ1万mで日本人1位になった伊地知を起用し、青木を復路の勝負区間に配置することも考えられる。

 往路の3区、4区では2月の丸亀ハーフで1時間01分42秒を出している補欠の高山豪起(2年)、区間終盤の上りを考えて伊地知を回すことも可能と複数の選択肢がある。いずれにせよ、1区からうまく流れれば往路は必ず上位をキープできる布陣になる。

 復路のエントリーは1年生3名、2年生1名、3年生1名となっており、8区の鎌田巧馬(2年)と9区の吉田蔵之介(1年)は11月の上尾ハーフで1時間2分台の自己ベストを出している。7区は当日変更で1区と4区に配置がなければ伊地知、青木、高山とスピードのある選手が入るだろうが、全日本6区区間5位の嘉数純平(2年)も出走候補に挙げられる。

 前回5位の順天堂大はエースの三浦龍司(4年)を1区にエントリーし、3区までは1万mの自己ベスト28分30秒台を持つ選手を並べた。補欠に置いている期待のルーキー、吉岡大翔(1年)を4区に入れてくれば、全力で往路への挑戦となる。

 総合5位以内を目標に掲げる前回6位の早稲田大は1区に全日本1区区間2位の間瀬田純平、2区にハーフマラソン早大記録を樹立したばかりの山口智規というイキの良い2年生コンビを配置し、序盤から勝負をかける。過去2年連続で5区に出走している伊藤大志(3年)、前回2区を走ったエースの石塚陽士(3年)が補欠に置かれており、もし5区に伊藤以外で候補の目処が立っていれば、このふたりを3区、4区に置く、面白い勝負ができそうだ。

プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る