箱根駅伝で明治大は「この20年間のなかでも仕上がりがいい」山本豪・新監督が明かした指導法「要求するばかりはフェアじゃない」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

【一人ひとりの適材適所を見極める】

ーー今回は、800mの中学記録保持者でもある馬場選手が16人に入ったのが驚きました。山本豪監督がもともと指導されていた選手ですが、下級生の頃から箱根を見据えていたのでしょうか?

 5000mもほとんど走ったことがない状況だったので未知数だったんですが、彼は取り組む姿勢がすばらしく、地道な努力ができる選手なので、チャンスはあるんじゃないかと思っていました。3年生の11月ぐらいに最後は箱根にトライしてみるのもいいんじゃないかって話をしました。彼のほうも「挑戦をしていいんですか?」みたいな反応で「やります」と。

 本格的に長距離に転向したのは今夏から。11月の世田谷(246)ハーフ(マラソン)はおっかなびっくりでしたが、その後の選抜合宿なんかはしっかり走っていました。(エントリーメンバーの)16人の16番目ではない。練習の出来は12番目ぐらいですから、文句なしの16人のメンバー入りですよ。

ーーOBの河村選手も最後の年は10区を走りました。

 河村ほどの持久力はないので、現状では出番があるとすれば6区ですね。

ーー6区には、前回好走した堀颯介選手(2年)がいます。今季は走力もアップしたので、平地区間に回すのでしょうか?

 いや。堀は下る気満々ですよ(笑)。ただ、何かあった時には、堀は平地も走れますから。

ーー今季は、前回アキレス腱のケガで欠場した児玉真輝選手(4年)も復帰しました。前回7区区間賞の杉彩文海選手(4年)もおり、下級生も力があります。現状でエースと呼べる選手は?

 突出したエースはいませんが、吉川響(2年)と児玉、杉、森下翔太(2年)あたりが同じような力ですね。彼らは、今、ほぼ完璧に練習ができています。その下に、1年生の綾一輝、大湊柊翔が続いています。

ーー昨年度までもエース候補が複数名おり、山本佑樹・前駅伝監督も2区の起用に頭を悩ませていたように見えました。

 走り方によってコースに合う、合わないもありますし、選手もコースの好き嫌いがある。エースだから2区を走るというわけじゃなくて、適材適所に応じて配置したいと思います。

 たとえば、杉だったら下り基調が得意ですし、彼の走りは上に跳ばないから向かい風の影響も大きく受けません。逆に、森下はアップダウンがあるほうがいいと言っています。そういった点を考慮したい。

ーー1年生はふたりともすでにハーフで1時間2分台をマークしています。即戦力になりそうです。

 大湊と綾はいつも一緒に練習をしていて、ライバル意識も強い。本人たちも「あいつがこれだけいけるなら、自分も」という意識のようです。彼らは練習どおりの結果を出してくれるので、僕のなかでも安心して送り出せる選手です。大湊は往路の大事なところでしっかりと走ってもらいます。綾は故障上がりなので、使うとしたら復路になりますね。

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