箱根駅伝・往路での「歴代最強ランナー」を識者5人が選出 「花の2区」を彩った各校のエースや大逆転を生んだ「山の神」たち (3ページ目)

  • スポルティーバ編集部⚫︎構成

【4区】時代を超えた3人の記憶

藤田敦史(駒澤大/1999年):折山、酒井、和田

吉田祐也(青山学院大/2020年):佐藤

中村孝生(日本体育大/1980年):生島

 直前に貧血となり不調が伝えられていたのに、ふたを開けてみれば区間新記録の快走。順大との2分超の差を逆転したのも鮮烈だった。この藤田敦史の姿に"2区で三代直樹(順大)との勝負が見たかった"と多くの人が思っただろう。また、1995年の小林雅幸(早大)の独走での区間新記録も印象深い。この年の早大の往路は本当に強かった。(和田)

 吉田祐也は、4区区間新記録の走りで2020年の総合優勝に貢献した。原晋監督の信頼を得られず、悔しい思いを噛みしめてきたが、ようやく巡って来たラストチャンス。それまでのうっぷんを晴らすような激走で東国大を抜いてトップに躍り出た。左腕を突き上げ、5区に襷を渡したシーンは非常に感動的だった。(佐藤)

 1980年の4区、早大の瀬古さんが作ったリードを日体大の中村孝生が一気に詰めた。快走そのもので、まさに総合優勝の立役者。およそ40年が経ち、わが息子はクラブで「中村コーチ」の教えを受けた。あの4区のレースについて質問すると、中村さんは穏やかに笑った。「そんなこともありましたね。よくご存じで」。(生島)

【5区】やっぱり、「山の神」はこの3人!

柏原竜二(東洋大/2009、10、11、12年):生島、酒井

今井正人(順天堂大/2005、06、07年):折山、和田

神野大地(青学大/2015年):佐藤

 柏原竜二は、4年連続で区間賞(うち3回区間新記録)&往路Vを成し遂げ、『山の神』と呼ばれた選手です。当時は最長区間だったこともあり、驚きの大差がつきました。トップと1年時は4分58秒差、2年時は4分26秒差、3年時は2分54秒差からスタートしての大逆転。4年時はトップで襷を受けて走り出すと、自身の区間記録を29秒更新。強すぎましたね(笑)。(酒井)

 現在とほぼ同じコースだが、70分切りは今振り返っても見事。それ以上に5区で11人のごぼう抜きを見せたのも衝撃的だった。3、4年時は決して状態が万全ではなかった。それなのに、周囲の期待に応え、自らの使命を全うしようとする走りに心を打たれた。今井正人は、まさに"山の神"の称号にふさわしいランナーだった。(和田)

 まさに神がかっていた。先頭の駒澤大との差は46秒。神野大地は軽快かつリズミカルな動きで、まるで平地を走るように山を上がっていった。大平台を越えて駒澤大を捉えると、一気に突き放す圧巻の走り。青学大は神野の逆転劇から往路優勝、箱根駅伝初優勝を果たし、エースは「3代目山の神」の称号を得た。(佐藤)

5区の認知を世間に決定づけた柏原 photo by Getty Images5区の認知を世間に決定づけた柏原 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

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