箱根駅伝の優勝争いを城西大、創価大、大東大は盛り上げられるか 3校の監督が語る全日本大学駅伝で見えた課題と期待 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【好調、低調の差が浮き彫りに】

 箱根では4大会連続でシード権を獲得している創価大。ただ、前回主要区間を走った4年生が6人抜け、戦力ダウンが予想されていた。だが今季、駅伝シーズンに入ると、出雲では3区のリーキ・カミナ(3年)が区間2位の走りで順位を2位に上げ、4区の山森龍暁(4年)と5区の吉田響(3年)が区間賞を獲得して、そのまま2位でゴールと周囲を驚かせた。

 だが、今回の全日本は1区の織橋巧(1年)がトップと6秒差の4位といい滑り出しをしながらも、2区の山森が区間13位、3区の石丸惇那(2年)も区間13位、4区の小池莉希(1年)が区間16位と、出雲駅伝の快走を再現できない走りで順位を13位まで落としてしまった。

 それでも「彼の場合は区間記録を絶対に更新するんだという、強い気持ちを持って準備をしていた」と榎木和貴監督が話す、5区の吉田響が区間記録を29秒更新する1位の快走でシード権圏内の8位まで1秒差の9位に順位を上げた。

 6区の山下蓮(2年)は区間16位で11位まで落としたものの、7区では、もうひとりの留学生のスティーブン・ムチーニ(1年)が区間4位の走りで9位に再び上げた。そして最終8区の吉田凌(3年)が、東京国際大や早稲田大との7位争いから抜け出し、落ちてきた大東文化大を抜いて6位に上げてゴールした。

 想定とは違った、追い上げなければいけないレース展開を榎木監督はこう振り返る。

「『先頭争いができるような勝負をしたい』とチーム作りをしてきたし、目標は3位だったので、その流れを築けなかったのは、まだまだ取り組むべき課題があるということ。出雲で2位を取ったことを自信にするというより、『満足してしまったのかな』と感じる部分はありました。2区から4区の3人は、出雲でいい走りをしていたので力みもあったかもしれないですが、駒澤大の選手はもっとプレッシャーがかかっていると思う。

 周りに踊らされるのではなく、地に足をつけて、駒澤さんみたいな強い覚悟を(持ってほしい)。『俺らは絶対に先頭を譲らない』ぐらい攻めの気持ちを持って試合に臨む必要があるというのを強く感じました」

 好調と不調の選手の差が順位に大きく出てしまったことについては、「全員が区間5位以内だった出雲駅伝のように、しっかりまとめる走りを追求しようと(全日本に)挑んだが、悪いほうに出てしまいました」と榎木監督は反省を述べる。

 そして、箱根までのあと2カ月弱、取り組むべきことについて榎木監督はこう話す。

「今日走らなかったカミナも含め、留学生ふたりと(吉田)響はしっかり走れていますが、彼ら頼みになってしまったのは反省しなければいけない。箱根に向けては今回走れなかった4年生の桑田大輔と志村健太は、最後まで悩むくらいにいい状態を作っていたので、彼らには今日の悔しさを持ってアピールして欲しい。チーム全体として成長はしているが、まだ完成された強さではない。上位に入っている國學院大や青学大もそういうことを経験しながら毎年チャレンジしていると思うので、我々もそういう領域に入っていかなければいけないと思います」

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