「駒澤大の一強。はっきり言って強い」と険しい表情の青学大・原晋監督 今季の選手たちが伸び悩んでしまった理由 (2ページ目)

  • 小堀隆司●取材・文 text by Kohori Takashi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 だが、力がないわけではないと原監督は話す。

「仲がいい学年なんですけど、それは困ったことでもあって、アスリートの世界では仲のよさがあだとなることも多いんです。やはり勝負の世界は蹴落としてなんぼですからね。闘争心を持って、我が強く、自分からポジションを奪いにいくくらいでないといけない。そういう動きが昨年はあまり見られなかったです」

 ふと苦い笑みを浮かべる。

「いい先輩が多い年ほど、下級生が勝負の時に引くんですよ。うっとうしい先輩の時は絶対に負かしてやろうと思うんだけど、可愛がってもらったり、いい先輩だと本能的に引いちゃう。それもあって彼らは伸び悩んだのかもしれない」

 裏を返せば、それだけ昨年のチームは心技体で強かったと言うことだ。箱根ではエントリー16人中13人が10000m28分台の記録を持ち、「2チーム出場できる」というほどの層の厚さを誇った。

 それでも駒澤大と中央大に及ばず、総合3位と苦杯をなめた。あれだけの戦力を有しながらなぜ勝てなかったのか。

 敗因はもちろん分析済みである。

「箱根駅伝の10日前までは僕も楽勝で勝つと思っていましたからね。それがコロナでバタバタと最後に崩れて、レース本番では取りこぼしにつながった。今の駅伝はひとつでも取りこぼしがあったら勝てない。それくらい厳しいです。だって駒澤は出雲の6区間、全日本の8区間、そして箱根の10区間でブレーキがなかったじゃないですか。24区間で一番悪かったのがたしか箱根と全日本の区間5位でしょ。だからもう昔のように往路勝負とか、復路勝負なんて言ってられない。往路だろうと復路だろうと、穴がひとつでもあったら勝てないんです。全員が往路を担えるような布陣を敷かないと勝負に勝つのが難しい時代になりましたね」

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