箱根駅伝、2年連続シード落ちの東海大で何が起きていたのか。エース石原翔太郎は「練習に誰もついてこない」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

【指導方針に変化が必要なのか】

 意識が低い選手はどこのチームにもいるが、その甘えを許さない環境作りが非常に重要だ。石原を中心としたグループを作って一緒に練習する環境を作ったり、選手のモチベーションを上げて、ひとつでも上のレベルにいけるように成長を促していくのは指導者の仕事でもある。両角監督は、駒澤大の大八木弘明監督の勇退を受けて考えるところがあるという。

「私は大八木さんと同じ昭和の指導で、自分の考えていることをそのまま学生にぶちまけて、少しビビらせながら緊張感のある指導をしてきました。でも、今はそれじゃ選手はついてこない。自分が受けてきた指導と今やらないといけない指導がうまくかみ合っていないのをすごく感じています。大八木さんの指導が変わった、柔らかくなったと言われるなか、どうやれば変わることができるのか。どう自分が変わっていかないといけないのか。それを考えながらやっていかないといけないと思っています。このまま何の変化もなく、負のスパイラルに入ってしまうと上に上がっていくのが本当にキツくなるので」

 指導方針を含めて、東海大は大きな岐路に立っている。

 少なくとも今までのようにエース頼みではなく、石原に追いつき、追いこす気概のある選手が出てくるなど、選手のマインドに変化が生じなければ冬の時代をさまようことになる。果たして、これから両角監督は、どう舵をきっていくのか。そして、選手たちは意識を変えていくことができるのか。石原が最終学年となる次回の100回大会が、東海大が巻き返す最大のチャンスになるだろう。

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【筆者プロフィール】佐藤 俊(さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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