箱根駅伝の素朴な疑問10【レース前後編】。「往路と復路の選手の違い」「区間エントリーで補欠の主力選手」「シード落ち」などに専門家が回答 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

疑問9.箱根を走り終わったあと、自分の走りを見返しますか?

神野 5区を走って往路優勝した時、主務(チーフマネージャー)の(高木)聖也さんと一緒に芦ノ湖に泊まったんです。その夜、再放送されるので、ふたりで見ていました。翌日、初優勝した時も寮で寝ずに見て、日本テレビの番組に朝から出ていました。でも、卒業してマラソンを始めてからは自分のレースはあまり見なくなりました(苦笑)。

たむじょー 箱根を走る多くの選手は見ていると思います。僕もテレビには襷を受けたところと渡したところしか映っていなかったんですけど、お正月の箱根駅伝という大きなレースに出て、どんな感じで映っているのかなとすごく気になったので、見返しました。箱根は本当に自分にとって憧れの舞台で、少しでもテレビに映っていたらうれしいなと思っていたので、ほんの数秒でしたが、映っていてよかったなぁと思いましたね。

疑問10.箱根駅伝のおもしろさって何ですか?

神野 学生は、365日のうち箱根を走る2日間をのぞいて363日、箱根に賭けて必死に練習しているんです。しかも(青学大では)部員が60名ほどいるなか、厳しい競争に勝ち抜いて箱根を走る10人に選ばれるということは、すごいこと。その日のために調整してきた選手の筋肉とか筋張った足は、めちゃくちゃ仕上がっているので、それを見ても努力のあとがわかると思います。箱根を走るためにすべてを賭けて臨む。それがストレートに伝わるから箱根は見ている人の心を離さないんじゃないかと思いますね。

箱根駅伝の素朴な疑問【レース当日編】に続く>>「当日の選手変更」「起床時間」「うしろの選手の気配」「監督からの声」の疑問

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【筆者プロフィール】佐藤 俊(さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など多数。

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