陸上短距離で高校生女王となった御家瀬緑。大学ではなく実業団を選んだ理由 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT

 御家瀬が、大学に進まず実業団で陸上を続けようと考え始めたのは、高校3年になる頃だった。

「大学に行こうか迷ったときもあったけど、ちょっとピンとこなくて、どうしようかなと考え、私から住友電工に『お願いします』と話して決まりました。周りを見ていて、大学で伸び悩む選手が多いのも不安でしたし、高校を卒業した18歳から22歳までの4年間はすごく長いし......。

 そこが一番成長できる大事な期間かなと思ったので、そこで力を伸ばしたいと考えました。勉強することも大事だけど、絶対に逃げられない環境で陸上一本に集中したい、という思いのほうが強かったんです」

 当初は父・典之さんが大学へ進んでもらいたがっていると感じ、迷うところもあったと御家瀬は言う。小さい頃に陸上をやっていた兄と姉が、ともに大学院まで進んでいたということもあった。それでも実業団へ行きたいという気持ちは消えなかった。

 その意向をくんだ典之さんは、「ここまで来たら、『本当に陸上に専念できる環境があるのならば、そちらへ行かせてあげたい』と考えるようになった」と振り返る。

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