東海大は2分差を復路で逆転可能。箱根駅伝「初Vのシナリオ」はできた (4ページ目)
練習が終わると、みな着替えてジョグをして宿に戻っていった。春日千速(ちはや/4年)は林に身体のバランスをみてもらっている。
「ポイント練習の時はよかったんですが、今日はもうひとつだったので、いろいろチェックしてもらいました」
春日はプロテインを飲みながら、そう説明してくれた。だが、表情はもうひとつ乗り切らない感じだ。
「先週のポイント練習の時はよかったんですが、今はまぁまぁです。あと10日でどのくらい上げていけるか、ですね」
春日は9月の北海道・紋別合宿で大腿骨を疲労骨折した。昨年も同じ故障をしたが、その時は全治3カ月だったので出雲、全日本はもちろん、箱根も難しいと思ったという。だが、前回と故障箇所が若干異なる幸運があり、1カ月半後の世田谷ハーフで復帰した。そうして12月の甲佐10マイルまで3本のレースを走り、調整してきた。4年生として、キャプテンとして、箱根駅伝が最後のレースになるが、春日以外15名の選手みな調子がいいだけに、うかうかしていられない状況だ。
「昨年と比較にならないほど、チーム内競争が激しくなっています。普段の練習はもちろん、合宿でも一歩はずしたらメンバーから外されるような状況が常にありますし、そこを勝ち抜いた選手が出雲や全日本を走っている。そこで得た自信や勝負強さをレースにしっかり出せるようになったことが結果につながっているのかなと。箱根もそういう厳しい競争を勝ち抜いた選手が走るので、いい結果が出ると思います」
春日は出雲、全日本には出場できなかった。だが、出雲の優勝後、チームにそれまでにない大きな変化を感じたという。
「出雲は実力的には勝てるはずだと挑んだレースだったので、優勝した時もお祭り騒ぎにはならなかったです。ちゃんと勝てたなぁってホッとした雰囲気が強かった。でも、そこからみんな箱根優勝をはっきりと口にするようになったんです。一度、優勝を経験して箱根でもあのくらいやらないと勝てないというのがわかってきた。
今まではどういう状態なら勝てるのか、なかなかイメージできなくて、フワフワして大会に出て、足元をすくわれるところがあったんですけど、今はそれがなくなり、このくらいやらないと優勝できないという厳しい目線で見られるようになっています」
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