小田凱人に国枝慎吾がエール 世界ランク1位の重圧とどう向き合えばいいのか (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

【レジェンド国枝慎吾からのエール】

 世界ランキング1位の重圧というものは、それを経験した人しかわからないだろう。国枝氏は、「僕が車いすテニスという競技があまり知られていないなかで1位になったのと、競技の認知度が上がった状況で1位になった凱人と、注目度は異なる」と前置きをしながらも、「ナンバーワンになり、みんなが自分に注視しているなかで自分の理想のテニスを見せたい、初めて車いすテニスを観る人たちにすごいなと感じてもらいたい、と思うのは自然なことだし、僕もそういう時期があったから、気持ちはよくわかる」と、17歳の心境を慮る。

 そして、「自分の理想とするプレーと現実とのギャップを感じる時があるかもしれないし、それを経験しないと強くなれないという一面もあると思う。でも、強気でパワフルなショットで相手に何もさせない、ガンガンいくプレーは凱人のよさでもある。僕は彼に今の勢いを失わないで成長していってほしいし、その先にどんなテニスが待っているのかに期待しています」と、エールを送る。

 22日には、杭州アジアパラ競技大会が開幕した。車いすテニスは男女のシングルス優勝者に来年のパリパラリンピックの出場権が与えられる。過密日程になるが、「ジャパンオープンで勝てていいスタートがきれた」と力強い。今度は日の丸を背負って戦う17歳が、アジアでどんなプレーを見せるのか、注目したい。

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