走ることは、生きること。車いす陸上の超人・永尾嘉章「53歳の挑戦」

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

 日本の車いす陸上界を牽引してきた男が、9月のリオパラリンピックに向け、好調を維持している。

7度目のパラリンピック出場を目指し、挑戦し続ける永尾嘉章7度目のパラリンピック出場を目指し、挑戦し続ける永尾嘉章 リオの代表選手選考会を兼ねた「IPC公認 第27回日本パラ陸上競技選手権」が鳥取市で行なわれ、53歳の永尾嘉章(ながお よしふみ/ANAORI A.C)が男子T54クラスの100mと400mに出場した。得意とする100mは期待の若手・生馬知季(いこま ともき/WORLD-AC)に敗れ2位だったが、400mでは予選を1位で通過すると、決勝でも圧巻の走りで優勝。「20代、30代の後輩たちの、少しでも高い壁で居続けたい」と力を込める。

 5歳でポリオを発症し、10代で陸上を始めた。同時に車椅子バスケットボールにも取り組み、1990年には世界大会ゴールドカップの日本代表に選ばれている。その後は陸上競技に専念。短距離選手として1988年ソウル大会から2008年の北京大会まで6大会連続でパラリンピックに出場している。

 日本選手団主将を務めた2004年アテネ大会では、4×400mリレーで銅メダルを獲得し、個人種目では1996年アトランタ大会の200mで4位に入賞した。それから20年が経った今でも、毎年のように自己ベストを更新している"超人"だ。

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