子どもから学ぶ、東京パラリンピックでの本当の「おもてなし」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文
  • photo by Igarashi Kazuhiro(人物),AFLO

――どんなことに挑戦したんですか?

伊藤 師範は、板とか氷とかバッドを持ってきてくださって、みんなの前でまずは披露してくれて。子どもたちはもうそれで「かっこいい~!」って。それから自分たちも型を教えてもらって、最後はみんな板割りに挑戦しました。車椅子の男の子を含めて子どもたちは板をバーンと割って、みんなその板をうれしそうに持って帰りました。

――そこで楽しさを覚えたりするんですね。

伊藤 そうなんです。やろうと思うことは何でもやってみたほうがいいとか、やれるということが大事だと思います。インターネット中継もそうなんですが、中継を見てもらって、そのスポーツをやりたいって思ってもらえたら素晴らしいことですよね。それに、やるに至らずとも、障害がある人が生き生きとスポーツをする姿を見て、引きこもっていた子が学校に行くようになるとか、あるいはあまり外出しなかった人が「買い物でも行ってみるかな」とか、そういうきっかけになってくれたらと思っています。

――大人になると勝手にこれは無理って決め付けてるところがあるんでしょうね。

伊藤 そうなんですよね。ある小学校で市役所の福祉課の人が来て授業をしたときに、その小学校には車椅子の子がひとりいたんですが、その福祉課の人は「車椅子の人は、少し段差があったら前に進めない。エレベーターがないと上にいけない。かわいそうだからみんな優しくしてあげよう。みんなで手伝ってあげようね」って悪気なく言ったんです。だけどその車椅子の男の子は家に帰ってきて、「僕のことをかわいそうって教えた」ってワンワン泣いて、本人はかなり傷ついたみたいで。

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