先輩からの助言で確信 目前に迫るGⅠの優勝候補筆頭・坂口楓華が辿り着いた「無欲」という新境地 (3ページ目)

  • ハル飯田●文 text by Haru Iida


無欲でレースに挑むという坂口 photo by Takahashi Manabu無欲でレースに挑むという坂口 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る

【見られる存在になった自分】

──今回の舞台は久留米競輪場で、その児玉選手を含めて地元・福岡勢の選手も数多く参加します。どのような開催になると予想していますか?

 今までのレースとは立場が少し変わって、今の私はタイトルを獲って賞金ランキングも1位ですから、やっぱり見られる存在になると思うんです。自分が逆の立場だった時のことを思い返せば、旬な選手のことは警戒していましたから。GⅠなのでやりづらいレースになるとは思いますが、引き出しは増やしてきたつもりなので、先行でもまくりでも、何でもやって決勝に進めるように頑張ります。

──ご自身では時間がかかるタイプだと分析されていましたが、だからこそマークする立場の気持ちもわかるというのは強みになるのではないでしょうか。

 まだまだ負けてきたことのほうが多いので、むしろトップの選手の気持ちがわからないという面では経験不足です。それでも負けてきた人間のほうが強いと思うので、プライドを持って走りたいです。

──昨年末のインタビューでも内面の変化を成長の要因に挙げられていましたが、今回の「ちゃんと生きていれば」という言葉も印象的でした。

 人間的にちゃんとした振る舞いをしていたら結果につながると思っています。練習をさぼらず、挨拶もする。相手が喜んでくれることを進んでやるようにもしています。本とかもよく読んでいて「ちゃんと生きる」ことを人生のテーマにしているんですが、そこはちょっとほかの人と話が合わなくて「変わってる」と言われますね(笑)。

──それでも今の坂口選手の成績を見れば、誰もが真似するようになるかもしれません。

 そうなったら平和になって、きっと強い選手も増えると思います。後輩や新人の選手にも人間としてカッコいいと思ってもらえるよう、ちゃんと結果を残して、自転車を降りてからも尊敬してもらえる存在になりたいです。


【Profile】
坂口楓華(さかぐち・ふうか)
1997年10月1日生まれ、兵庫県出身。小学生時代から自転車競技に励み、高校時代には全日本ロードレースU17で優勝するなど、若くから実力を発揮する。高校卒業後に競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学し、19歳でデビュー。2021年、24歳でガールズグランプリに初出場した。2023年4月に通算200勝を達成し、5月には32連勝も記録。同年12月のガールズグランプリで2度目の出場を果たす。2024年3月のガールズケイリンコレクション2024取手ステージで初タイトルを獲得した。

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