藤澤五月が初めてブラックコーヒーを飲んだ20歳の頃、彼女を成長させたライバルと仲間たち (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

 夜には、はと美さんの部屋に集まって熱く激論を交わす機会も多く、みなさんのイメージどおり山口(剛史/SC軽井沢クラブ)さんは熱くて、「これからどうやって、日本のカーリングが世界と渡り合っていくか」といった話をしたり、そのなかでこれから強くなっていきそうなチームの名前を聞いたり、それぞれのチームがどんなカーリングをするかなど、あの頃に入ってきた多くの情報は、男子チームと共有した時間でもらったものです。

 もちろんカーリングから離れてリラックスする時間もありました。翌朝が早い移動日の前夜などは「寝坊しそうだから、みんなで起きてよう」と、夜を徹してトランプで"大貧民"をしたのもいい思い出です。

 その時の中部電力のチームメイト、SC軽井沢クラブのメンバーは現在、カーリングを離れた人もいれば、また違うチームに所属してそれぞれの場所にいますが、20歳前後のあの時期に、一緒にたくさんの試合を見たり、本音で語り合ったりした時間は、楽しいだけでなく、私を大きく成長させてくれました。

 今はみんないい年齢になったので、さすがに徹夜で"大貧民"をすることはないですが、海外遠征で眠れない夜や少し時間が空いた時などに、当時のことを懐かしく思い出すことがあり、その記憶はいつでも私の心を温めてくれます。

 ちなみに、私は強いカードを出し惜しみしてしまうタイプなので、だいたい平民でした。そんなに強くないです、"大貧民"。

藤澤五月(ふじさわ・さつき)
1991年5月24日生まれ。北海道北見市出身。高校卒業後、中部電力入り。日本選手権4連覇(2011年~2014年)を果たすも、ソチ五輪出場は叶わなかった。2015年、ロコ・ソラーレに加入。2016年世界選手権で準優勝。2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得した。趣味はゴルフ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る