藤澤五月が初めてブラックコーヒーを飲んだ20歳の頃、彼女を成長させたライバルと仲間たち (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

 海ちゃんはその後も、チーム東京のフォースとして2020年の日本選手権に出場。昨年のミックス4(男女2名ずつで行なう大会)では東京都協会のスキップとして出場し、優勝を果たして世界選手権で5位に入賞しています。

 やはり同級生の活躍は刺激になります。最近はなかなか対戦できていませんが、彼女とまた対戦するのも、私の競技生活を支えるモチベーションのひとつになってもいます。

【成長を促してくれた数々の試合観戦と仲間との熱い夜】

 2011年の日本選手権で優勝した前後から、海外遠征が増えました。

 カナダに加え、当時はスイス、ノルウェーといったヨーロッパにも行って、さまざまな特徴を持ったアイスで、多くのチームと対戦しました。

 今でこそ、日本のチームはカナダ各地で開催されているツアーで優勝したり、上位に食い込むことができるようになりましたが、当時はどのチームもチャレンジャーで、3連敗して予選敗退なんて数えきれないくらいありました。その頃から、私は他のチームの試合を積極的に見始めたと思います。

 もちろんスキップとしての勉強ではあるのですが、カナダには国民的なドーナツとコーヒーのチェーン店"ティムホ"こと『ティムホートンズ』があって、そこで買ったドーナツ片手に「自分だったらこっちの作戦で攻めていたな」とか、考えながら観戦することが単純に楽しかったです。

 今はもうなくなってしまったのですが、バーノンという街のホールのすぐそばには、ティムホと『コールド・ストーン・クリーマリー』が併設されている店舗があって、そこで買ったコールド・ストーンのアイスが甘すぎて、生まれて初めてブラックコーヒーをティムホで買って飲んだ記憶もあります。

 コーチの(長岡)はと美さんと並んで観戦することもあり、はと美さんは観戦中も隣にいる私に「今、あっちのラインを使った狙いは......」とか、「向こうのシートで投げている選手は3年前のカナダ選手権で......」などと、作戦のことや海外選手のことなどたくさん話してくれました。

 SC軽井沢クラブと同じ大会に出ている時はモロさん(両角友佑/現TMKaruizawa)がいることもあり、はと美さんとモロさんの「こっちから狙ったほうがいいんじゃない?」「いや、センターにガードを置いちゃったほうが絶対にいい」みたいな議論を聞くのも好きでした。

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