駒大スポーツ新聞「コマスポ」の奮闘 お金も時間も足りないけど...「スポーツが好きだから」「青春を追いかけるのが青春」 (5ページ目)

  • 高山かおり●取材・文 text by Takayama Kaori

【スポーツを追いかける青春】

 厳しい状況もあるなかで新聞製作を続けたいと思うのはなぜか。中西さんは続ける。

「使命感が大きいのかもしれません。待ってくださる読者が本当にたくさんいて、私がサボったら届かないという編集長としての責任がある。そして、もちろん部としての活動が楽しいことも大きな理由です。2時間も雑誌読みながら語れる人なんて他にいませんから(笑)。試合や大会を観て応援することが好きだし、結果だけでなく選手の人となりをもっと伝えたい気持ちが強いです」

 宮澤さんは、「私は、文章はそんなに得意じゃないけど陸上が好きということが原動力。自分の目で見たものを伝えられることがやりがいです」と話す。

競技ごと班のチーフが段取りを細かく資料にまとめて取材に臨む photo by Kitagawa Naoki競技ごと班のチーフが段取りを細かく資料にまとめて取材に臨む photo by Kitagawa Naokiこの記事に関連する写真を見る コマスポでは、主力選手以外に目を向けることも重視する。主力選手はスポーツ紙をはじめとする多くのメディアで紹介されるが、エントリーメンバーに入らない選手を応援する人だっている。

 通常のメディアでは報道されることの少ない、今はまだ活躍できていない選手や裏方として重要な役目を担っているマネージャーたちを取り上げていきたいという思いも強い。

「掲載された選手の親御さんから喜びの声を直接いただくこともあります」と中西さん。

 この秋に代替わりとなり、これからは今の2年生が率いていく番だ。大塩さんは、新聞づくりのやりがいをこう語る。

「自分の好きなことを共有できる仲間がいて、新聞を通して思いを伝えることができることが本当に幸せだと思っています。頑張っているのは、プレーしている選手だけではない。選手の応援を頑張るエントリーされなかった選手や応援団だっています。誰がどんなふうに青春をかけているかは違うけれど、私たちは頑張っている人たちの存在を伝えることに青春をかける。他人の青春を追いかけるのが自分の青春なんです」


後編<「コマスポ」編集部が駒澤大の2年連続駅伝三冠を占う! 出雲の収穫、推し選手、脅威の大学は?>を読む

プロフィール

  • 高山かおり

    高山かおり (たかやま・かおり)

    「Magazine isn't dead. 」主宰、ライター、雑誌研究家。生まれも育ちも北海道・十勝で、六花亭をこよなく愛する。セレクトショップでの販売員、書店での雑誌担当を経て、2018年に独立。独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア「Magazine isn't dead.」を立ち上げる。4歳からの雑誌好きで、国内外の雑誌やZINE、新聞などのあらゆる紙ものをディグるのがライフワーク。近年は図書館探訪に励み、160箇所以上に足を運ぶ。いつか本にまとめるのが夢。

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