秋場所序盤戦で脚光を浴びる北勝富士と琴ノ若――錣山親方がその強さの秘密に迫る (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

先場所に続いて今場所での活躍も期待される北勝富士先場所に続いて今場所での活躍も期待される北勝富士この記事に関連する写真を見る 一方で、彼ら2人を含めて3人の大関を撃破。初日から3連勝を飾って序盤戦で大きな注目を浴びたのが、北勝富士(前頭筆頭)です。

 北勝富士と言えば、先場所で豊昇龍、新入幕の伯桜鵬と熾烈な優勝争いを演じたひとり。千秋楽では12勝3敗の相星となり、豊昇龍と優勝決定戦を行ないました。

 本割(12日目)では、北勝富士が豊昇龍に押し出しで勝っているのですが、決定戦という大事な舞台で北勝富士は引いてしまいました。それに乗じて豊昇龍が攻め込み、豊昇龍が初優勝を手にすることに......。北勝富士にとっては、悔やんでも悔やみきれない相撲だったと思います。

 初日の貴景勝、2日目の豊昇龍、3日目の霧島との相撲を見ると、その大一番での反省もあるのでしょう。とにかく前へ、前へ、という思いで相撲を取っているのがわかります。

 子どもの頃から相撲を取ってきた北勝富士は、中学、高校、大学時代に数々のビッグタイトルを獲得してきた実力の持ち主。特に日体大2年の時には、東京農大の正代(元大関、現前頭3枚目)を破って、学生横綱に輝いたこともあります。

 大相撲界に入って幕内で活躍し始めた頃から私が感じていることは、彼の相撲はパワー一辺倒というより、バランス型に近いということ。突き押し以外に、寄りや投げ、引くことに関しても巧みな面を秘めています。

 ただある時から、頭から当たっていくような相撲が見られなくなってしまったのです。何らかの事情があったのだと思いますが、その結果、実力がありながらなかなか突き抜けることができませんでした。

 それでも、ここ最近になって以前の自らの相撲を思い出したのか、立ち合いからガンガン相手力士に当たっていくようになりました。それが、先場所の好成績につながったのではないでしょうか。

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