ガールズケイリン史上最速で500勝を達成した児玉碧衣 驚異の勝率83.8%の秘訣は「リミッターを外せる」力 (4ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 池田清太郎●写真 photo by Ikeda Seitaro

「それまでは、ただ脚を回せば前に進む感じだったのですが、左の肩甲骨が動かせないこともあって、普通に乗れなかった。そこから使いたい筋肉や、体の動かし方などを考えて自転車に乗るようになりました。そしてワイヤーを抜いて完治した今、以前より楽にスピードが出せている気がするんです。このケガは痛かったし、体の状態が元に戻るまで本当に苦しみましたが、自分が成長するために必要な時間だったと思います」

 完全復活後に行なわれた6月のパールカップ(GⅠ)。今年度からガールズケイリンでも年に3回GⅠが設けられ、その記念すべき最初の開催だった。ここで堂々たる走りを見せ、初代GⅠ女王に輝いた。これからもトップを走り続け、歴史にその名を刻んでいく。それが今の児玉の目標だ。

「ガールズケイリンをもっと広めたいし、職業として憧れられるものにしたい。コンビニに行った時などに、『いい車に乗っているね、何をしているの』って聞かれることがあるんです。その時は胸を張って『競輪選手です』って言うようにしているんですよ」

 児玉は、ガールズケイリンを象徴する選手として、引き続き、勝ち続けるつもりだ。


【Profile】
児玉碧衣(こだま・あおい)
1995年5月8日生まれ、福岡県出身。小学時代にバレーボールをやり始め、高校まで競技に励む。高校卒業後に日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入り、成績2位で卒業。2015年7月のデビュー戦で勝利し、翌8月に初優勝を飾る。持ち前のポテンシャルの高さで勝利を重ね、2018年からガールズグランプリ3連覇を達成。今年6月、初のGⅠ開催となったパールカップで初代女王に輝く。今年7月にはガールズケイリン史上最速で500勝を挙げた。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る