名古屋場所で「大関取り」に挑む3人の関脇。錣山親方が「ダントツにいい」という力士とは? (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 また、今場所の大栄翔からは、そういった数字以上に強く感じるものがあります。

 まったく相撲に迷いがない――。

 その「俺にはこの相撲しかない」という強い気持ちが、大栄翔を大関に引き上げてくれるのはないでしょうか。

2日目に横綱・照ノ富士に勝って、4年ぶりに金星を挙げた錦木2日目に横綱・照ノ富士に勝って、4年ぶりに金星を挙げた錦木この記事に関連する写真を見る 新大関や3人の関脇以外で注目力士を挙げれば、錦木(前頭筆頭)が気になる存在です。2日目、横綱・照ノ富士相手にすくい投げを決めて、4年ぶりの金星を挙げました。3日目にも関脇・豊昇龍に叩き込みで勝利。相手に力を出させなかった、その相撲も強かったです。

 もともと錦木は力が強く、腰が重い力士です。ただ、攻めが遅いため、勝機を逃しているところがありました。

 2016年夏場所に幕内に昇進し、2019年初場所では横綱・鶴竜から金星を挙げるなど、地味ながら上位を苦しめる戦いも見せていました。ところが、体調を崩したのか、数年前から体が小さくなり、2020年初場所には十両へ転落。一度は幕内に復帰しましたが、昨年の初場所まで十両での土俵が長く続いていました。

 その姿を見て「十両で取る力士じゃないんだけどなぁ......」と、私もやきもきしていましたが、昨年幕内に復帰してからは、体も回復。今場所は32歳ながら最高位(前頭筆頭)まで番付を上げてきました。

 これまで、三賞、三役に縁がなかったのは不思議ですが、"やる気"が出る時期は各力士によって違うもの。ここにきて、錦木の"やる気スイッチ"が入ったのかもしれませんし、地方巡業では必ず朝稽古の土俵に上がるという地道な努力も、花開いた理由のひとつかもしれませんね。

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