大ケガで「もうトップでは戦えないのかもしれない」→ガールズケイリン初のGⅠ女王へ 児玉碧衣が4車身差でパールカップを圧勝 (2ページ目)

  • ハル飯田●文 text by Haru Iida
  • 安田健示●撮影 photo by Yasuda Kenji


ホームストレッチで一気に仕掛けた児玉(白・1番車)ホームストレッチで一気に仕掛けた児玉(白・1番車)この記事に関連する写真を見る

【鎖骨骨折による不振から完全復活】

 パールカップでは堂々たる走りで栄冠を勝ち取った児玉だが、2023年は苦しい序盤戦を過ごした。昨年末のガールズグランプリで落車し、左鎖骨を粉砕骨折。1月末には復帰を果たしたものの本来のパフォーマンスからは程遠く、成績も振るわなかった。

 当時は「もうトップでは戦えないのかもしれない」と感じるほどの不安に襲われたが、懸命の調整によって徐々に復調。患部に入っていたワイヤーを抜く手術を経てからは「いつも通り走れている」と手応えを感じる走りで連勝を重ね、大舞台に臨んだ。

 この日は断続的に雨が降る安定しない天候で「風はかなり強く感じたし、バンクも少し重たかった」と、決して走りやすいコンディションではなかったが、鋭い勝負勘で仕掛け所を逃さず、完全復活を印象づけるレースを披露した。

 会見では「何もせずに終わるよりは何かして終わりたかった。初日、2日目と1着で(決勝に)来られたことが自信になって、迷わず踏み込めた」と、メンタル面も勝因のひとつに挙げた児玉。

 2018年からガールズグランプリを3連覇するなどガールズケイリン屈指の実力者が苦難の時期を乗り越えて掴んだ完全優勝。「今後の自分の成長にも繋がる」と、さらなる飛躍を見据えた。

【GP出場へ争奪戦激化】

 初のGⅠを「3日間気持ちいい走りができた」と総括した女王は、7選手だけがスタートラインに立てる年末のガールズグランプリの出場権も獲得。全選手で一番乗りの切符に「獲得賞金では苦しい位置にいるので、(パールカップを)獲るしかないと思っていた」と、安堵の表情を見せた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る