カーリングミックスダブルス世界選手権で史上初のメダル獲得 谷田&松村ペアが示した五輪出場の現実味 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 対戦順や対戦相手との相性、さらには試合ごとのアイスの変化や、チームの調子の善し悪しなど、さまざまな要素が絡み合って混戦必至となるのが、ミックスダブルスだ。しかも、実力面での代謝が早く、数年で勢力図が大きく変わる。カナダ、スイス、スウェーデンといった4人制のカーリングでは強豪とされる国々であっても、継続して結果を出していくのは難しい。

 それゆえ、谷田は「そういう競技ですし、そういうレベルの大会になっているということです」と、世界的にも実力差が小さくなっていることを強調する。

 だからこそ今回、日本代表ペアがそこで"勝ちきれた"こと、ファイナルまで残ったことには大きな意味がある。谷田が言う。

「この一年やってきたことが間違いじゃなかった、という手応えは確かにあります」

 ただ、残念ながら決勝では勝ちきることができなかった。松村は「まずは本当にアメリカがうまかった」と初優勝を飾った王者を称えたあと、こう語った。

「私たちのパフォーマンスは、大会を通して悪くなかったと思います。でもそれを、決勝戦でも出せるかどうか。(決勝で)もっともっとできたと思うけれど、メンタルや技術の持ち方は実際に決勝のアイスに上がってみないとわからなかった。そこは、今後の課題ですね」

 このミックスダブルスも、来季から2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を巡る戦いがいよいよ始まる。

 五輪出場は10カ国だが、開催国イタリアを除けば、その枠は9。そのうち、7枠が2024年と2025年の世界選手権の結果で振り分けられる。そして残りの2枠は、おそらく五輪直前に開催される世界最終予選で決まることになるだろう。

 前回の北京五輪の際は、谷田と松村のペアが日本代表として世界最終予選に出場。惜しくも結果を出すことができなかったが、2026年に向けては、「最終予選は本当に厳しい。そっちに行かなくていいように、2回の世界選手権で(五輪出場)枠をとるつもりで準備します」と、谷田は言いきった。

 そのためには、まずは日本選手権を制し、再びこの世界選手権の舞台に戻ってこなくてはいけないが、谷田と松村ペアとしても、日本としても、ミックスダブルスでの初の五輪出場――その道筋が明確に見えた江陵での11試合だった。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る