大相撲、春場所の優勝争いを錣山親方がチェック 「新星」北青鵬と落合にはあえて辛口のメッセージ (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 序盤戦で貴景勝や大栄翔には敗れたものの、久しぶりに意欲的な相撲を見せているのが、元大関の正代(前頭筆頭)。特に4日目、優勝経験のある関脇・若隆景に見せた攻めは、何もかも振り切ったような、大関に昇進した頃の勢いが感じられました。

 正代はファンが多く、彼特有の"ネガティブ"な面も愛されているのですが、若隆景戦で見せたような攻めの相撲をファンも見たいはず。今の意欲を維持して、彼も優勝争いに加わってくるようになれば、ますます面白い展開になるのではないでしょうか。

"新星"として話題を集めているのは、宮城野部屋のふたり、新入幕の北青鵬と、所要1場所で十両に昇進した19歳の落合です。

 北青鵬は204㎝の長身。手足が長く、その恵まれた体格を武器にして初日から4連勝を飾りました。ただ、私はあんな大きな体格で相撲を取ったことがないので、わからない部分が多いのですが、やや受け身の相撲が多いのは気になるところ。

 高校卒業後、スピード出世していた北青鵬ですが、2021年の九州場所でヒザのケガを負って途中休場。その結果、新入幕が遅くなってしまったことを、改めて思い出してほしいと思っています。というのも、今の相撲を取っていると、またケガをしてしまう可能性があるからです。

 一方の落合も、前半戦は好調なペースで白星を積み重ねています。相撲の型を持っている力士で、押しても、寄っていっても相撲が取れる、という強みがあるのは魅力的です。

 しかし彼にも、気がかりな点があります。今後のことを思えば、立ち合いの張り差しは止めたほうがいいでしょう。

 2人とも将来有望な力士。ですから、私からはあえて辛口のメッセージを送りたいと思います。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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