フェンシング・江村美咲が味わった東京五輪の挫折「これ以上何を伸ばせるんだろう」。燃え尽き症候群を乗り越えパリ五輪金メダルへ (3ページ目)

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 吉楽洋平●撮影 photo by Kichiraku Yohei

【パリ五輪は「出しきったと思える試合を」】

ーー江村選手にとってサーブルの魅力はどんなところですか?

 サーブルは一瞬で勝負が決まるし、どの種目よりもスピーディーだし、ダイナミックだと私は思っています。

 試合展開から選手の気持ちが見えてくるので、ちょっとでも弱気になると、相手にどんどん攻められたり。

 逆に大逆転も最も起こりうる種目がサーブルなので、私としては一番楽しいと感じています。

 私がサーブルを始めた頃は、日本でサーブルだけをやっている子どもなんていなかった時代なんです。

 リーコーチやグースコーチが来てくれて、新しい練習場ができたり環境もよくなってきているので、サーブルを始めるタイミングにすごく恵まれているかなと。

 あとは、サーブルでも日本の選手が勝てるんだっていう、その道を、私たちが切り拓いている最中だと思っています。

 ちょっとでも、サーブルが面白そうだなと思うなら、やって損はないです。

この記事に関連する写真を見るーーところで最近のマイブームは?

 好きな服を着てお買い物に行って、美味しいものを食べたりするのが好きですね。

ーーインスタグラムにもおしゃれな写真がアップされていますね。

 インスタは年々こだわりが強くなってきてしまっていて......。私はちょっと完璧主義みたいなところがあって、インスタも気に入った写真じゃないとアップできないようになってきて、どんどん更新頻度が落ちてきてますね(笑)。

ーーでは最後に、2024年パリ五輪に向けての抱負をお願いします。

 個人も団体もメダルは狙いたいと思っています。ただ結果は最終的についてくればいいというか、やはり準備段階でやれることを全部やって、終わったあとに勝っても負けても出しきったと思える試合をしたい。その結果が金メダルだったらいいなと思ってます。

 そのためには、2023年は前年以上に、もっと安定して表彰台に立てる選手になりたいです。団体は、世界選手権でもまだ金メダルを獲れていないので、パリ五輪でも目標にしたいです。

終わり

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【プロフィール】
江村美咲 えむら・みさき 
1998年、大分県生まれ。父・宏二は1988年ソウル五輪フルーレ代表、母・孝枝はエペで世界選手権に出場。小学3年でフェンシングを始め、中学時代にフルーレからサーブルへ転向。高校時代の2014〜2017年、JOCエリートアカデミーに在籍。2018年から全日本選手権2連覇。中央大学卒業後の2021年3月にプロ宣言。2021年東京五輪では団体5位入賞、2022年の世界選手権で日本女子個人として初の金メダル。2月13日現在で世界ランキング1位。

プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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