初場所で錣山親方が注目しているのは、愛弟子・阿炎のライバルと35歳のベテラン力士 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 他に注目しているのは、ベテラン35歳の佐田の海(前頭4枚目)です。勝ち星には恵まれていませんが、3日目に竜電を一発で持っていった相撲(押し出し)を見ると、前に出る力がついているな、「強いな」と感じました。

 15歳で初土俵を踏んだ佐田の海が幕内に上がったのは、26歳。決して早い出世ではありませんでした。しかしそこから努力を重ね、30歳をすぎてからもジワジワと力をつけてきているのはすごいことです。

 佐田の海のお父さんは、元小結の佐田の海関(出羽海部屋)という力士ですが、ここにきてその相撲っぷりが、お父さんに似てきたような気がします。

 現役時代、私も佐田の海関とは何度も対戦したことがあるのですが、思い出すのは1985年名古屋場所(7月場所)での初顔の一番です。佐田の海関は色白の体をしていて、柔らかそうな印象を持っていたのですが、実際に対戦してみると、非常にがっしりしていて、ものすごく強かった! 若かった私は、相撲の奥深さを学びました。

 二代目・佐田の海には、まだまだ伸びしろがあります。彼が目標としているお父さんの地位(小結)に、ぜひとも駆け上がっていってほしいです。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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