ブラジル出身・魁聖の角界入り経緯。サンバよりマンガが好きなオタク (4ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 その大会が行なわれたのが7月で、運よく大相撲の名古屋場所も見ることができたんですよ。テレビ中継での観戦でしたけど、初めてきれいな画面で大相撲を見ることができて、「わぁ! やっぱり力士って、カッコイイなぁ......」って思いました。

 この時から、僕の憧れは、具体的な将来の目標になっていったんです。

 ブラジルに戻ってから、『サンパウロ』チームで相撲を教えていた黒田吉信さんに、「僕もプロになりたいです」って相談しました。黒田さんは数年前まで、玉ノ井部屋で若東という四股名の十両力士だった方で、その道には詳しかった。

 そして、ちょうどその頃、友綱部屋でブラジル出身の魁ノ浜(のち、魁心と改名)の日本国籍が取れて、外国人枠が1つ空いたんです。そこで、僕を紹介してくれた。

 外国人枠は、1部屋1人という決まり(移籍などを除く)。当時は、朝青龍関の活躍などもあって、モンゴルとか各国から、大相撲に行きたい少年がいっぱいいたみたいだけど、誰かが引退したりして、空きが出ないと入れない状況でした。そういう意味では、僕はラッキーだったと思います。

(つづく)

魁聖一郎(かいせい・いちろう)
本名:菅野リカルド。1986年12月18日生まれ。ブラジル・サンパウロ出身。友綱部屋所属。恵まれた体格と迫力ある寄り、押しで土俵を沸かせる。ゲームやマンガ、アニメが好きなインドア派で、コーラとお肉が好物。2014年に日本国籍を取得。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る