落車が続出のツール序盤。王者フルームはマイヨ・ジョーヌを守れるか (6ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 ゴール後に開かれたフルームの公式記者会見は、「質問は3つまで」という司会者の言葉で始まった。

「アルのアタックをどう考える?」と英語で質問されたフルームは、前述のように「知らなかった」と英語でよどみなく答える。ところが2問目はフランス語で、3問目はイタリア語で同じ質問が浴びせられたのだ。さすがの優等生もこれにはマイクを投げ出し、「アイ・ドント・アンダースタンド」と言い残して退出してしまった。

 今年のツール序盤戦のフルームは首位ながらも、余裕のなさを感じずにはいられない。昨年のモン・ヴァトゥで自転車が壊れ、思わずランニングでゴールを目指してしまったのも、ある意味で彼はパニックに陥っていた。

 個人タイムトライアルは速いし、山岳でも強い。常に集団の前方で安全にゴールできる総合力もある。それだけに、フルームはトラブルに怯える。2014年は落車による骨折で、その栄冠を一瞬のうちに失った。

 総合成績の上位選手は、まだ僅差......。本当の戦いはこれからだ。

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