【月刊・白鵬】球界の「レジェンド」たちの引退に、横綱が想うこと

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第55回:名選手たちの引退

九州場所には休場明けで臨みながら、順調に勝ち星を積み重ねている白鵬。九州場所には休場明けで臨みながら、順調に勝ち星を積み重ねている白鵬。休場明けとなる九州場所(11月場所)でも
安定した強さを見せている横綱。
日々気を抜くことなく、36度目の優勝へ向けて、
全力を尽くしている。一方、球界では今年、
偉大なる選手たちが続々と引退を発表した。
野球好きの横綱にとって、それらのニュースは
大いに気になっていたという――。

 大相撲九州場所(11月場所)も、終盤戦に入っています。

 秋場所(9月場所)では、横綱に昇進してから初めての途中休場。10月に行なわれた秋巡業には途中から参加したものの、土俵上での稽古は満足にできませんでした。10月下旬、九州場所が開催される博多に入ってからも、どちらかと言えば、多少ゆったり目の、マイペース調整を続けてきました。

 そうした状況から、「はたして白鵬は九州場所に出場できるのか」あるいは「大事をとって再び休場するのか」といった見出しが、各メディアでは綴られていました。

 実際、出場するか否か、私もずいぶんと悩みました。所属する宮城野部屋で、自分と向き合い、じっくりと調整していく中で、かなりの時間をかけて"出場"という結論を、私自身で出しました。

 横綱として、本場所に出る限りは千秋楽まで相撲を取り切る。しかも、優勝争いに最後まで加わっていく――横綱の責任として、私が昇進以来こだわってきたことです。それが、先場所では休場となって、その責任を果たせず、ファンの期待に応えることもできませんでした。

 だからこそ、次に本場所に出るときには、必ず"結果"を出さなければ、ファンに申し訳ないですし、何より私自身、情けないし、納得できない。そういう意味でも、九州場所に挑むことについては、悩みに悩んだ末に出した結論でした。

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