髙梨沙羅のライバルになれるか。ソチ五輪は伊藤有希の活躍にも注目。

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORT

2014年注目のアスリートたち(8)

 1月11日に行なわれた女子ジャンプW杯札幌大会。試合前の試技でジャンプ台から飛び出す選手たちの映像を見ていて驚いたのは、19歳、伊藤有希(土屋ホーム)の力強さだった。

W杯蔵王大会、伊藤有希(左)はW杯初の表彰台に上った。W杯蔵王大会、伊藤有希(左)はW杯初の表彰台に上った。 これまで伊藤の踏み切りは、若干体を前方に投げ出すだけのようなところがあった。本人は「飛び出しと空中で腰が前に行き過ぎるのを修正したい」と話していたが、それだと向かい風を受ければソコソコ飛距離を伸ばせるが、追い風になると飛べなくなるという弱点を持っていた。ましてやジャンプスーツが小さくなった今は、余計に不利になる。

 だが札幌大会では、立ち上がる動きに力強さが加わっていた。しっかりとジャンプ台に力を伝えられる動きになっていたのだ。1本目は強めの追い風を受けて84mで17位に止まったが、向かい風となった2本目は95mまで飛距離を伸ばし、順位を4位まであげた。

「昨日から自分でも少しずつ安定してきていると思うので、1本目も2本目も悪いジャンプではなかったと思います。その中でも2本目の方が感じは良かったし、風にも助けられました」

 こう話していた伊藤は翌日の試合でも8位という結果ながら、1本目には弱い向かい風の中で90.5mを飛び、W杯初の表彰台かと期待されるジャンプを見せていた。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る