坂本花織はロシア勢が復帰しても「勝ち続けたい」世界選手権3連覇の軌跡を振り返る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【納得の演技で3連覇の快挙】

 だが、落胆はなかった。これまでの実績をみれば、十分に逆転可能な数字だったからだ。坂本は「いかに開き直るかがカギ」と気持ちを奮い立たせた。

 そしてフリーの最終組は、韓国勢ふたりに次ぐ3番滑走。試合前に坂本は「コンディションもすごくいい」と話し、その表情は集中しきっていた。

「個人的に早く終わるほうが好きなので滑走順はよかった。6分間練習からそこまで時間が空かず、イメージをそのままに演技できたなっていう感じがしています。いつもは最終滑走が多く、前の5人が演技をしている間は試合前の独特な緊張感があるけど、久しぶりにグリーンルームに座っていてまた違う感じでした。

 あとに滑る選手がいい演技したら自分はどの位置にいってしまうんだろうという不安というか、いろんな思いで緊張が解けない感じがあって。最終も先にやるのもわりと緊張は変わらないんだなと感じました」

 試合後の会見でそう話した坂本。滑り出しに片足のエッジがもう一方のエッジに触れて少しバランスを崩しかけたが、影響されることはなく、最初のダブルアクセルはいつものように高い加点をもらうジャンプにした。

 そのあとの3回転ルッツは、エッジエラーで基礎点が下がり0.20点の減点になったが、SPとは違って踏み切りからの流れも着氷後の流れもよかった。

 その後の3回転サルコウからは集中を切らさず、GOE(出来ばえ点)加点を着実に積み上げる滑りを続けた。結果は、149.67点。合計を222.96点にする納得の演技だった。そして、逆転で3連覇を決めた。

「ショートの前には少し不安を感じていて、それがパフォーマンスに表れてしまった。ショート4位で本当に焦りや緊張、いろいろな感情がありましたが、それでも(フリーは)いい緊張感のなかで一つひとつ集中してできました。結果につながってすごくうれしいです」

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