長光歌子が展望する今季世界選手権 高橋大輔が優勝したトリノは「用意された舞台のようだった」 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【高橋大輔との世界選手権の思い出】

ーー日本人以外で、注目選手は?

 韓国の(チャ・)ジュンファンくんはスケートがうまいし、表現もいいですね。今シーズンは故障をしていたのか、調子がよくなさそうですね。昨年の『フレンズオンアイス』でも練習を間近で見せてもらいましたが、超一流のスケーターのオーラがありました。大好きな選手のひとりですね。他にもマリニンくんはジャンプのスペシャリストだし、フランスのアダムくんにも注目しています。

2010年の世界選手権でのフリー『道』2010年の世界選手権でのフリー『道』この記事に関連する写真を見るーー最後に、長光先生にとって思い入れの深い世界選手権とは?

 大輔と一緒に戦った、2007年の東京、2010年のトリノ、2012年のニース、はどれもよかったですね。シーズンは長くて、3月の世界選手権に合わせながら、そこにピークを合わせてメダルをとれる、というのはうれしいんです。

 トリノでの世界選手権は金メダルですし、達成感はありました。練習できずに臨んだのですが、向こうでの演技はよくて。それも絵に書いたようなストーリーでした。イタリアで『道』(有名なイタリア映画の楽曲)を滑るって、用意された舞台のようで。『道』は前の年に、膝のケガで出られなかったシーズンのためにつくられたプログラムで、それを持ち越すことになったんですが、なんだか運命を感じましたよね。

終わり

第1回<「曲に体の細胞が全部反応している!」高橋大輔の演技に長光歌子が感じた才能とは>を読む

第2回<高橋大輔に長光歌子が伝えた「日本人として恥ずかしなくマナー」 アジア初の偉業を回顧>を読む

第3回<高橋大輔は指導者としては超ストイック? 次世代への継承を長光歌子と考える>を読む

【プロフィール】
長光歌子 ながみつ・うたこ 
1951年、兵庫県生まれ。自身の現役時代には、全日本ジュニア優勝、全日本選手権6位など活躍。引退後はコーチ兼振付師として活動し、数多くのトップ選手を育てる。バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔が中学時代からコーチを務めた。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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