週刊少年ジャンプ『ツーオンアイス』を高橋成美は「現役時代に読みたかった」ペアの葛藤を描いた逸茂エルクの思い (3ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko

【美容室で「綺更ちゃんみたいにしてください」】

ーー『ツーオンアイス』でお気に入りのキャラクターはいますか?

高橋 たっくん(空天雪/そらたかゆき)がけっこう好きなんですよね。かっこいいし、スケートをしている時のシルエットがやっぱり魅力的ですよね。あと、ペア男子であの体型は本当にいい。無駄な肉がついていなくて、必要な筋肉だけがついている感じがいいです。たっくん、好き!

トップスケーターとして描かれる空天雪/『ツーオンアイス』(集英社)トップスケーターとして描かれる空天雪/『ツーオンアイス』(集英社)ーー組んでみたいですか?

高橋 いや......ちょっと組むのは嫌ですね!(笑)

逸茂 あはは!(笑)

高橋 組むのは嫌だけど、たっくんに認められたらそれは幸せそう。ただ、たっくんに虐げられるのなら自分の人生は犠牲にしたくないかな。でも、唯一の人になれるんだったら周りの人に嫌われてもそれはそれで幸せなのか......。あとじつは、美容室に漫画を持っていって、綺更ちゃんみたいにしてくださいって言っているんです。綺更ちゃんに憧れて寄せている部分、ありますね(笑)。

ーー逸茂先生には、作中に登場するペアの特徴も聞きたいです。

逸茂 「きさはゆ」(綺更&隼馬)は、思春期の難しい時期に等身大で歩み寄っていける、向き合える異性がいるというのはすごく尊いことだと思っているので、それがちゃんとわかるように描こうと意識しています。霧島夏日&夏夜は主人公たちのよきコーチであり、現役選手。選手とコーチを兼任しているキャラクターはあまり他のスポーツ漫画ではないので、そういう部分での感情の揺れ動きはすごく気をつけています。「ゆにこた」(浅倉結仁&鈴枝虎太郎)は本当に普通の大学生で、親しみを感じてもらえればなと思っていて、「ことじょう」(三木ことり&我妻丈)は兄妹や親子みたいな感じになりつつ、丈がことりを子ども扱いしすぎないところはすごく意識しています。

「さえちょ」(秦冴&漢見寵児)は、じつは連載1話の時にはまだ存在していませんでした。ベテランポジションを出さなきゃなと思っていたのを、連載5話目くらいの時に冴を中心にキャラを整えた形です。ただ実際登場させてみると、当初の想定をはるかに超えてすごい速度で重要な立ち位置になりまして。ペアの先人の冴は、現実世界では高橋さんにあたる存在だと思うのですが、彼女が作者のコントロールを超えてくれたことで、開拓者の果たした役割の大きさ、高橋さんの偉大さをあらためて痛感させられました。

ペア競技に挑む多彩なキャラクターが登場/『ツーオンアイス』(集英社)ペア競技に挑む多彩なキャラクターが登場/『ツーオンアイス』(集英社)高橋 今の日本のペアは3組しかいないけど、アイスダンスのカップルは本当にそんな感じですよね。大学生カップルもいるし、ベテランもいる。リアルだなあって感じながら見ていました。

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