世界フィギュアの男子展望　宇野昌磨、鍵山優真はマリニン「一強時代」の到来を阻止できるか

世界フィギュア2024プレビュー・男子シングル編（全２回）

【進化し続けるマリニン】

　カナダ・モントリオールで開幕するフィギュアスケートの世界選手権。３月21日にショートプログラム（SP）、23日にフリーが行なわれる男子シングルは、ハイレベルな優勝争いに注目だ。

GPファイナルで表彰台争いを演じたイリア・マリニン（中央）、宇野昌磨（左）、鍵山優真（右） photo by Getty Images　グランプリ（GP）ファイナルを314.66点で制したイリア・マリニン（アメリカ）と、世界選手権３連覇を目指す宇野昌磨（トヨタ自動車）、２月の四大陸選手権を307.58点で優勝した鍵山優真（オリエンタルバイオ／中京大）が表彰台候補となる。

　そのなかでも今季の実績でやや抜け出しているのがマリニン。昨季の世界選手権では、SPで２位につけながら、４回転アクセルを含む５種類６本の４回転ジャンプを入れたフリーはミスが重なり得点を伸ばせず、チャ・ジュンファン（韓国）に逆転されて総合３位。その結果にマリニンは、「4回転を増やすより、クオリティーを高める必要がある」と話していた。

　今季序盤はその言葉どおりにジャンプの難易度を抑え、GPシリーズ初戦のスケートアメリカでは、フリーでルッツ２本とサルコウ、トーループの４本の構成で、わずかなとりこぼしがありながらも206.41点を獲得し、合計も310.44点を出すスタートを切った。さらにフランス杯でも304.68点と、安定感を高めてきた。

　そしてGPファイナルでは、SPに４回転アクセルと４回転ルッツ＋３回転トーループを入れる高難度の構成に挑戦し、自己最高の106.90点を出す。フリーでも４回転６本の構成に挑み、冒頭の４回転アクセルは転倒したものの、自己最高の207.76点を獲得して314.66点で圧勝。進化した姿を見せつけた。