本田真凜が驚く宇野昌磨の考え方とは?「他の選手で見たことがない」世界フィギュア日本男子を占う (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 立松尚積●撮影 photo by Tatematsu Naozumi

【鍵山優真のパワーアップの裏側】

ーー 一方、鍵山選手は精密なスケーティングで、不得意なことがない、完全無欠のスケーターという印象です。

 鍵山選手は1年間、ケガで休んで、完全に試合をしない時期がありました。長い期間、スケートをしなかったにもかかわらず、あのレベルまで戻すというのはただものではありません。すごく難しいことで、一度休むともとの位置に戻るまでが大変で、まずはよくここまで戻ってきてくれたな、すばらしいな、というのが今シーズンの感想です。

 しかも、よりパワーアップして戻ってきた印象で、とくにスケーティングのところでは、(振付師の)ローリー・ニコル先生の望むスケートがプログラムに現れていますね。今シーズンは現地でも見ていますが、とくにフリーは曲が始まる瞬間から入り込んじゃいます。

ーーカロリーナ・コストナーが特別コーチについたのも、スケーティングの洗練にひと役買っているのでしょうか?

 コストナーさんは、私も憧れの人。ああいうスケートをしたい、って思っていました。『アヴェ・マリア』のスケーティングなどがすばらしくて、一つひとつの所作が美しかったです。鍵山選手もコストナーさんに教えてもらうことによって、さらにスケーティングが変わってきた印象はあります。

ーー鍵山選手はケガからの復活ですが、フィギュアスケーターにとっての挫折とは?

 挫折は、ないに越したことないと思うんですけど......、できない、悔しい、うまくいかない、そういった気持ちを経験している選手にしか、出せない深みもあると思います。フィギュアスケートは表現のスポーツでもあるので。とくに世界選手権は、昨季の悔しさをリベンジしたい、というのがスケートに表われるかもしれません。

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